タイトルひねりすぎるのもどうかと。
「コーヒーをめぐる冒険」67点★★★☆
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ベルリンに住む青年ニコ(トム・シリング)は
その日、朝からツイていなかった。
恋人から些細なことで追い出され
立ち寄ったカフェでコーヒーを飲み損ね
免停確実になり、
アパートの上の階の妙なオヤジに絡まれ……。
ツイてないニコの明日はどっちだ?!
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どう見てもジーン・セバーグな恋人との
ファーストシーンからして
いろんな映画へのオマージュというか、愛を感じるし
モノクロの画面も洒落ている。
洒落ているけど、
それ以上ではないのが「ネブラスカ」のモノクロと
ちょっと違うところっつうか。
なにより
「なにもかもツイてない、ある1日」というプロットに
さほど新味がないんですよねえ。
朝の一杯を飲み損なったのが運の尽き、
カフェでもどこでも、
どうやってもコーヒーを飲めない青年の
何をやっても 「カスッ」の連続な1日は
初めこそ笑ってたけど、
やがて哀切となっていくほど、けっこう念が入っていて(苦笑)。
運転免許を取りあげようとする役人とのやりとり、
アパートの上階の住人とのやりとり、
昔の同級生だった女の子との再会……
どれもこれも、まあよくここまで、
些細なガクッを思いつくなあと(笑)。
結局、大学を辞め、自分探しで動けなくなっている
モラトリアムな主人公の
それを言い訳にした怠惰が、自分に返ってくるだけの話って気もするし。
コーヒーはあくまでも
小道具であり、シンプルなメタファーなんで
タイトルは原題の「OH BOY」(「あーあ…」「なんてこったい」みたいな意味らしい)で
よかったんじゃないかと思うのでありました。
★3/1(土)から渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。
「コーヒーをめぐる冒険」公式サイト