スタンリー・トゥッチも素晴らしいが
コリン・ファースが最高に素敵だ。
「スーパーノヴァ」77点★★★★
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イギリスの田園地帯を走る、古びたキャンピングカー。
ハンドルを握るのはサム(コリン・ファース)。
助手席にはタスカー(スタンリー・トゥッチ)。
けっこうひねくれ者っぽいタスカーの繰り出す皮肉や軽口を
サムは自然にさばきつつ、
旅をしている。
二人はこんなやりとりをしながら
20年来をともにしてきたパートナーなのだ。
が、実はタスカーはだんだんと記憶と体力を失っていく
病と闘っている。
サムは「ちょっと混乱しただけだよ」とタスカーをはげますが
タスカーには、この旅においての、ある覚悟があったーー。
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最近「人生の終わりを、自分で選択する」テーマの映画がめっちゃ多い。
「椿の庭」しかり、
いままでに、ワシに最もそれを考えさせたのは
「母の身終い」(13年)だった。
全てにおいて、ワシはその選択に肯定派だし
「自分もそのときは、そうしたい」と
いまもそう思ってるんですが
でも、この「スーパーノヴァ」ほど、共振したのは初めてだと思う。
だって、コリン・ファースとスタンリー・トゥッチ。
二人の演技が最高なんだもん。
病を抱える側・タスカーを演じるトゥッチももちろんいいけれど、
さまざまな思いを胸に秘め、相手を包み込む
相方・サム役のコリン・ファースが最高に素敵なんですよ。
(もうね、男性のカップルだとか、そんなところは
映画も飛ばしてるし、
ワシも飛ばしてるんですみません。笑)
こんな人に見守られながら、「ごめん、お先に!」といきたいけど
いや、違うだろ?
こんな人だからこそ、別れるのイヤじゃん!? (泣)って
タスカーの揺れる気持ちが、痛いほどわかる。
でも、それを超えて、タスカーは言うんですね。
「君が好きだった私を憶えていて欲しいんだ。”私じゃなくなった”私じゃなくて」
――いままで、いろんな映画や小説などで
同じ意味合いの言葉を聞いてきた。
でも、トゥッチの発するこの言葉は
これまでになく深いところにグサッと突き刺さって
めちゃくちゃ、腑に落ちたんですよ。
だからこそ、そのとき「そんなの絶対にイヤだ!ダメだ!」と抵抗していたサムも
気づくんだよね。
それを実行しようとする、タスカーのほうが
どれだけつらく、恐怖であることか、と。
そして、お互いを思いやるからこその、この結末。
悲しいだけじゃなく
全編をとおして
二人の穏やかで深い愛が伝わってくる。
そのぬくもり、不思議なやすらぎが残像のように残って
どこか、安らかな気持ちにもなる
ホントにいい映画っす(思い出すだけで、泣けてくるさ)。
これを観てから
「自分がもしものときに、その決断をできるか」じゃなく
「それを相手が望んだときに、自分はしてあげられるだろうか?」に
視点が変わってます。
映画ってすごいよね。
★7/1(木)からTOHOシネマズ シャンテほか全国で公開。