四回転半くらいのひねりで良く出来ている。
「ブラックボックス 音声分析捜査」79点★★★★
****************************************
ヨーロピアン航空の最新型機が墜落する事故が発生。
乗客・乗務員316人全員の死亡が確認された。
航空事故調査局の音声分析官マチュー(ピエール・ニネ)は
ボイスレコーダー、通称「ブラックボックス」から
事故原因を探ることになる。
マチューは雑音だらけの音源から
「アラーは偉大なり!」という男の声を発見し
事故はテロである、と発表。
事件は解決したかに思えた。
が、事故の被害者の遺族から
ある留守電メッセージを聞かされたマチューは
あることに気づいてしまい――?!
****************************************
フランス発、久々にハラハラとのめり込んだ
サスペンスエンターテインメントです。
墜落の原因を探るミステリー、っていうのは
ありそうな話だけど
ここまでひねったものは初めて観ました。
墜落機の原因をブラックボックスから探る
耳の良すぎる音声分析捜査官マチュー(ピエール・ニネ)。
「イヴ・サンローラン」(14年)のイメージが強すぎて
最初はサンローランにしか見えないんですが、
この神経質そうな佇まいが、この映画の超キモになっていくんですね。
で、このマチューさん優秀で、
雑音だらけの録音から「アラーは偉大なり」を聞き起こし、テロと発表する。
その過程だけでもけっこう「へえ」「すげえ」なんですが
しかしその後、マチューはあるおかしな点に気づいてしまう。
しかも最初に担当していた上司は失踪(なんでや!)。
で、マチューはその後、音源から
航空機が故障したんじゃないか?と発見する。
このマチューさん、わずかな音から
エンジン音の変化に気づいたり、
客室乗務員のワゴンの音から、
人の動きを想像できたりする能力の持ち主なので
映像でも
「そのとき、飛行機内でなにが起こったのか?」が
音を頼りに再現されていって
すごくおもしろいんです。
でも、検証した結果、故障ではなかった。
さらに彼には不似合いなほどバリキャリで美人の妻も
なんか怪しい(笑)
で、マチューはさらに捜査にのめり込んでいくのですが
その様子がかなりヤバくて
「新事実を見つけた!」といっても
周囲に「・・・・・・お前、少し休めよ」って言われちゃうんですよね。
本人がどんどんおかしくなっていくので
観ている我々も「妄想では?」と思ってしまう。
しかーし、最後の最後にあるものを発見!
だがさらに!しかしこれまた!――と
こう書いていても、もう監督・脚本のヤン・ゴズラン氏が
「これでもか!」「これでもか!」と
ひねって盛っていった過程が手に取るようにわかり
これ、作るのおもしろかっただろなあと思います(笑)。
「ちょっとこれはあまりに映画でしょ!」って思うところと(だって映画だもん。笑)
「いや、現実にあるかも・・・」ってリアルが絶妙にカバーしあってる。
ドローンやカーナビ、ドライブレコーダーとか、
馴染みあるハイテク機器を取り入れているし。
耳には自信ないワシですが
まあ良すぎるのも問題だよなあと、思うのでした。
★1/21(金)から全国で公開中
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます