エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

乗鞍紀行・・・水芭蕉の

2013年05月17日 | ポエム
例えば、尾瀬の木道を歩くのと違って、乗鞍は湿地があれば水芭蕉が咲く。
高原の辺りは、小川が流れていてその周辺に湿地が生まれる。

その湿地に小さな流れが生まれ、その流れに沿って水芭蕉が増えて行く。
摂理に叶った花の増え方である。
人はそれを自然と称するのである。



乗鞍高原の水芭蕉の棲息の在り方は、だから自然で可愛らしい。



誠に小さな生き物であって、かそけき美しさがあるではないか。
ぼくの好きな花の一つである。







「戯れ事は座った数ほど水芭蕉」






花ことば「美しい思い出」「変わらぬ美しさ」である。
この景色は、あの北陸の名刹「毛越寺」の曲水の宴の場所で見た。
水の流れが相似しているからであろうか。

あちらは、杯が流れる。
ここは水芭蕉が居流れるのである。



水芭蕉には、白樺が良く似合う。



ほらね!
良く似合うでしょう。



水の流れに沿って水芭蕉は下りてくる。
その摂理も良い。

夏の思い出に歌われているのは「尾瀬」の風景である。
自生地では春の雪解けに合わせて姿を現す「春の花」である。



水芭蕉。
サトイモ科で、カラーやアンスリウムと同じつくりの花である。
本当の花は、中心の棒状の部分である。
花びらに見える白い周辺部は、葉が変化した「仏炎苞(ぶつえんほう)」という器官であって、実にうまく化粧している。



        荒 野人