エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

奇跡のリンゴ

2013年05月31日 | ポエム
試写会に出かけたのである。
「奇跡のリンゴ」である。



ベストセラーを記録したドキュメントの映像化だ。
同時に、このドキュメントは、日本の農業へ大きな問題提起も投げかけたのであった。

著者の木村秋則(きむら あきのり、1949年11月8日 - )は、世界で初めて無農薬・無施肥のリンゴの栽培に成功した日本の農家である。

映画は、リンゴ農家の挑戦を淡々と描いて秀逸である。
主演の阿部サダヲが良い。
その妻役の菅野美穂も良かった。



だがしかし、圧倒的に山崎努が光った。
年輪を重ねた男を、いぶし銀のように演じきった。
さすがに、名脇役である。

映画は、泣かせようともせず、笑わせようともせず時系列で無農薬栽培の困難を描いていく。
観客は、息を呑んで成功を見守る。
ただそれだけである。
それが良い。

パンフレットの安っぽいコピー「妻への愛」が空虚に感じられたのである。




「作物の生きる証ぞ花林檎」


林檎の花の季節がエンディングであった。
この写真は、御本人の木村さんである。

林檎の赤い実を背景に、満面の笑みである。
生き物と生きる人の、満足の笑みである。



           荒 野人