エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

枇杷の花

2013年12月08日 | ポエム
枇杷の花が咲いている。
目立たない花である。
「粗にして野だが卑ではない」という城山三郎の小説がある。



枇杷の花は、正しくこの表現が当たっている。
見上げなければ、気付きもしない花なのである。
そこが良い。

因みに、花言葉もある。
「温和」「治癒」「あなたに打ち明ける」である。



枇杷は、たわわに実る。
街路にあって、別に市場に出回るわけではないから、この木にはたわわに実っている。
小さいけれど、甘い。



散歩しながら、一つずつ捥いで頂くことがある。
本当に甘いのである。

ところが、役所の外注で緑地帯の手入れをする業者が、なんの配慮も無く剪定することがある。
従って、木によっては実生が切り取られてしまっている。
これは哀しい。







「日暮時顔上げて見る枇杷の花」







枇杷の葉も実も、昔から漢方の生薬として人の役に立ってきた。

葉はアミグダリンやクエン酸などを多く含み、乾燥させてビワ茶とされる他、直接患部に貼るなど生薬(枇杷葉(びわよう))として用いられる。
葉の上にお灸を乗せる(温圧療法)とアミグダリンの鎮痛作用により神経痛に効果があるとされるのである。

甘い枇杷茶をお飲みになった経験がある筈である。
大切にしたい「枇杷の木」である。

「桃栗三年柿八年枇杷(は早くて)十三年」
と言われるのだから。



       荒 野人