エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

さくらの実

2015年05月10日 | ポエム
さくらの実が、葉桜の影に生っている。
小さく、可愛く生っている。

決してサクランボとなる訳では無いけれど、小鳥は啄むらしいのである。
ぼくは、その姿を見た事は無い。






「さくらの実小さく色づく光かな」







桜桃は太宰の小説だし、桜桃忌は太宰の忌日である。
枝も折れよと生るサクランボの色合いは、垂涎ものだ。

吾子も孫も、幼い日々はサクランボに憧れる。
小さな口にも、一口で放り込めるからであろう。



気兼ねなく食べられる旬に入る。
少なくとも、美味しさに当たり外れが無くなるのである。
それに価格だって、安価になる。

孫たちは、二つ繋がったサクランボが好きである。
イヤリングのようにして楽しんでいる。

さくらの実は、そうして遊ばないけれど季節を表す色と形である。



      荒 野人