エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

梔子

2015年06月08日 | ポエム
くちなしの花である。
甘やかな香りを振りまく、不埒な花である。



人を魅惑し、媚惑する。
夢へと誘う。

甘やかな匂いの誘いに、誰もが在処に興味を持つ。
そうした花である。



花が終わり、秋も深まる頃赤い実を結ぶ。
硬い赤い殻に、ぼくは限りも無い深みを感じるのである。







「梔子や見上ぐる空の雲一朶」







梔子。
駆け足で走り去ろうとするのだけれど・・・。



そうした逃避を許さない。
いつまでも、いつまでも絡め取とろうとする。

誠に不埒な花である。
だから虫が付く、のだ。



      荒 野人