エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

姫沙羅

2015年06月21日 | ポエム
ヒメシャラである。
沙羅・・・夏椿の花よりも小ぶりであってしかし花はあくまでも近似値を示す。
沙羅・・・ぼくらのような凡人には涅槃の樹下に巨大な虚ろが開いている、と思える。

樹皮自体も、極めて似ている。



けれどもヒメシャラと呼ぶのである。
可憐な花である。







「ヒメシャラの誰知らぬ内咲きにけり」







花言葉は・・・。
「謙譲」である。

美徳である。
沙羅は、釈迦が入滅した場所の咲く花だ。
沙羅双樹の花を言う。

平家物語でも、琵琶の音色に合わせて語られる。
法師が大きなバチで叩くように演奏する。

琵琶法師という呼称は、今はもう死語になっている。
それでも良い。

ぼくたちはヒメシャラからでも、釈迦の生涯を感じ取れるからである。



        荒 野人