エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

ギボシ

2015年06月09日 | ポエム
雨上がりは、空も花もより美しい。
たおやかな女人が、飛天のように舞い上がる空である。



その天女の舞う空の下、ギボシが咲いている。



ギボシの花は下向きである。
その慎ましやかさが、個性である。



八ヶ岳の麓で、良く目にしたものだった。
今は、そこに住んでいた義母も亡くなり訪うことも少なくなった。
寂しいけれど、人の世の無常とはそうしたものである。







「高原の風に一株ギボシ揺れ」







ギボシに寄せて、ぼくはいつだって夢を見る。
さりげなく、あくまでもさりげなく密やかに咲いていたい。



その場合、空は澄みきっていて欲しい。
そう・・・雨上がりの午後のように。



        荒 野人