エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

シロツメクサ

2015年06月16日 | ポエム
シロツメクサで、髪飾を編む乙女がいた。
そうした風情は、眺めているとこちらまで気分が上向く。

かつては、女の子の遊びであった。
遊びであったし、親から子へと伝えられた遊びでもあった。

「ままごと」は、もていれば遊び方は自然と分かってくる。
編み方は、母が教える。
そうした親子関係が健全な家庭でもあった。



場所は、やはり菖蒲園。
様々な菖蒲を楽しんだ後、出くわした風景である。







「ティアラ編むツメクサ原の乙女かな」







菖蒲は、変になまめかしいけれど・・・。
少女は、豊かな知性と静かな佇まいであった。



彼女が誰のために、ティアラを編んでいるのかは知らない。
知らないけれど、心なしか理解できる。



おそらく、妹にせがまれたのであろうと思うのだ。
妹が、このティアラを被ってくれるだろう様子を思いながら楽しそうに編んでいた。

編み終わった少女は、すっと立ち上がり去っていった。
そのさりげなさが、また良かった。



       荒 野人