2023年上半期第169回直木賞受賞作。
「オール読物」2020年5月~2022年11月連載、2段組み549頁の大作。
鎌倉幕府の瓦解から室町幕府の成立まで、(「太平記」にはあっても)一般的には良く知られていない史実に光を当て、壮大な歴史群像劇に仕立てた痛快歴史小説。
兎に角、面白い。
原稿用紙1,448枚という大作を一気に読ませる筋書きと平易な語り口が心地良い。
また、足利尊氏、新田義貞、楠木正成、後醍醐天皇等の人と為りを理解する上でも恰好の読物となっている。ご一読をお勧めします。(お勧め度:★★★)
選者評:伊集院静氏
「垣根氏の作品を読むと、足利尊氏・直義兄弟の姿は、現代に生きる我々に何かを教えてくれる。何を教えているのかと言うと、人間にとって大切なものは、その人の生まれ、素性、才能に左右されないということである。同時に、周囲の差しのべてくれる手がなくては、何事も成し遂げられないということである。これを作品から感じとれるのは、小説の力量そのものであろう。」