自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★イフガオ再訪‐1

2013年11月25日 | ⇒トピック往来
  フィリピンのルソン島にあるイフガオに長らく活動した経験ある日本人男性から、こんなことを聞いた。「イフガオ棚田では、男が田んぼをつくり、女が米をつくるんですよ」と。日本では「田んぼ」は土づくりから、稲作までの一貫作業だと思っていたが、イフガオ現地ではどうやらもそうではないらしい。男女分業のように聞こえる。

              イフガオと能登の類似点、

  そのイフガオへ、きょう(25日)出発する。小松空港から成田へ、成田からマニラへ。10時間ほどの旅だ。「人生七掛け、地球八分の一」とはよく言ったものだ。これまで、8日間かけて行った世界各地が1日で行けるようになった。イフガオは昨年1月に世界農業遺産(GIAHS)の視察を兼ねて現地でワークショップ(金沢大学里山里海プロジェクト主催)を開催したので1年11ヵ月ぶりとなる。現地の壮観な棚田の風景もさることながら、青ばなを垂らした子どもたちもどこか昔の自分を見ているようで懐かしい。再訪を楽しみにしている

  ではなぜ再びイフガオの棚田なのか。イフガオの棚田は、国連食糧農業機関(FAO)により世界農業遺産に認定されているが、近年、若者の農業離れや都市部への流出により、耕作放棄地の増加が懸念される。実に4分の1が耕作放棄地になりつつあるとの指摘もある。ほか、地域の生活・文化を守り、継承していく若者も減っている。また、棚田が崩れることもままある。そのために、国際協力機構(JICA)や世界のNGOが懸命になって、地域を支援している。ただ、土地には土地の人の考えがあり、そう簡単ではない。

  実は、同様の課題を有しているのが、能登半島だ。担い手が減り、田んぼを始め、山林や畑、地域の祭り文化も後継者がいないというところが目立っている。若者たちにもう一度地域の価値を理解してもらい、地域をどのように活用すればよいか、そのようなことを考え、実践する人材を育てている。金沢大学が地域の自治体とともに取り組んでいる、「能登里山里海マイスター」育成プログラムがそれだ。

  フィリピン大学の教授たちから、能登の人材養成を取り組みをぜひイフガオで活かしたいとのオファーが金沢大学里山里海プロジェクト代表の中村浩二教授にあり、どうノウハウを移転すればよいか、JICA北陸や同じ青果農業遺産の佐渡の人たちと連携を進めている。今回の再訪はその手順を踏むためのものだ。これが、世界農業遺産の理念の普及を通じた国際交流・支援を実施になればよい。また、能登の若者たちがイフガオとの交流を通じて、国際的な視点を持ちながら地域の課題解決に取り組むグローカル(グローバル+ローカル)な人材の育成にもつなげていければといろいろと思いを巡らせながら、これから出発する。

⇒25日(月)午前・金沢の天気   くもり


  
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