いよいよ歴史に刻まれることになる米朝首脳会談が始まる。ただ、成果は出せるのだろうか。メディア各社の記事を読んでもその点ではぼかしが入っている。たとえば、会談の成果は北の非核化と安全の保証に関する合意文書の取り交わしだろうと想像するが、アメリカCNNのWebニュース=写真=をのぞいても成果予想が分からない。以下引用文。「Trump chases the ultimate deal at Singapore summit, but will Kim let him seal it? (トランプ氏はシンガポール首脳会議で究極の取引を追うけれども、キム氏はそれを封印するのではないか?)」
会談で仮に金氏が非核化に応じたとしても、IAEA(国際原子力機関)による査察に応じるのだろうか。IAEAの査察(検証活動)はしっかりしている。核が保管されている施設を申告させて場所を明確にする「特定査察」、そこに監視カメラを設置して、平和目的かどうかを監視する「通常査察」、そして、監視によって疑惑が出た場合には「特別査察」を行う。このIAEAの検証活動を合意文書に盛り込めなければ、単なる口約束にすぎない。つまり、非核化は約束はするがIAEAの査察についてぼかす、あるいは逃げ切る。CNNの記事にある「封印」はまさにこのことだ。
韓国の聯合ニュースのWebニュース(日本語版)は、金氏がシンガポールに到着したときの様子を伝えている。10日朝に平壌から3機の航空機が飛び立ち、正午すぎにシンガポールのチャンギ空港に到着した。1機は北朝鮮の輸送機(IL-76)で移動用の専用車のベンツや、移動式トイレを搭載してきたという。トイレは、排出物の状態から金氏の健康状態に関する情報が外部に漏れないようにするためだと記載されている。トイレの一件を疑ってしまう。「健康状態」というよりも、ひょっとしてもっと別なことがあるのではないかと。勘ぐり過ぎか。
続いて、中国国際航空の旅客機ボーイング747、そして金氏の専用機「チャムメ1号」が到着した。金氏が乗っていたのは中国国際航空機の方だった。聯合ニュースは、専用機は旧ソ連が1963年に初飛行させた「イリューシン62型」で、老朽化が指摘される。これまで長距離飛行の実績もなく、金氏が「安全」のため専用機には搭乗しなかったとの見方もあると伝えている。ここで気がついた。金氏は5月8日に中国の大連を訪れ、習近平氏と会った。2人は3月25-28日に北京で会談をしたばかり。立て続けの訪中はどこか不自然と感じていたが、「主席がいつも乗っている航空機を貸してください」とお願いに行ったのか、と。これも勘ぐり過ぎか。
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