自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆密約を疑う、トランプ氏のやさしい眼差し

2019年08月27日 | ⇒ニュース走査

   韓国が日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を日本に通告した翌日の今月24日、北朝鮮が短距離弾道ミサイル2発を発射した。このニュースを視て、「やっぱりそうきたか」と予想通りだった。GSOMIAは互換する安全保障上の情報を保護する日韓連携の、まさに土台だった。韓国側の破棄通告を歓迎する、いわば「祝砲」が今回の短距離弾道ミサイルの発射ではなかったか。

        北は国連安全保障理事会の決議(2006年)でいかなる弾道ミサイルも発射を禁じられており、安保理は緊急会合を開いて対応を協議して当然だが、安保理の開催を求める国が出ないのはなぜか。北は先月25日以降だけでも7回立て続けで弾道ミサイルを発射している。この打ち放題は何を意味するのか。

   この背景には、アメリカのトランプ大統領が北の金正恩・朝鮮労働党委員長を擁護するような発言(今月2日のツイッター)をしているからではないかと推測する。先月25日からの相次ぐ弾道ミサイル発射について、トランプ氏は3回も投稿している。「....Chairman Kim does not want to disappoint me with a violation of trust, there is far too much for North Korea to gain - the potential as a Country, under Kim Jong Un’s leadership, is unlimited. Also, there is far too much to lose. I may be wrong, but I believe that......」。3回分を以下要約する。国連決議への違反はあるかもしれないが、キム委員長は私への信頼に反して私を失望させたいとは思っていない。北朝鮮が得るものはとても大きく、同時に失うものもとても大きい。私は間違っているかもしれない。それでも、キム委員長は自国について偉大かつ素晴らしい展望を持っており、その展望を実現させることができるのは私を大統領とするアメリカだけだと確信している。

   トランプ氏の意図はおそらく、アメリカと北朝鮮の双方の将来的な利益を勘案するなら、一連の短距離ミサイル発射を気に留めないと述べているのだろう。なぜ、トランプ氏は金氏をそこまで擁護するのかと勘ぐってしまう。ツイッターの呼びかけをきっかけに急きょ実現した6月30日の両氏の会談=写真・下=は当時あたかも「政治ショー」のように報じられたが、ひょっとして密約があったのではないか、と。

      トランプ氏が金氏に非核化だけを望むのであれば徹底的に国連決議への違反を問うて、経済制裁をすればよいだけの話だ。「under Kim Jong Un’s leadership, is unlimited.」などと持ち上げる必要性はあるのだろうか。ではその密約とは何か。以下は空想だ。トランプ氏は北朝鮮の豊富な地下資源(金、鉄、マグネサイト、無煙炭、銅などの有用鉱物や希少金属など)に目を付け、非核化を条件にアメリカは鉱山開発の投資を積極的に行い、アメリカと北がウインウインの関係になることを約束する、と。これに金氏も「考えさせてください」などと拒否はしなかったのだろう。

   トランプ氏は金氏がその決断をするのをあえてやさしい眼差しで見守っている状態ではないのか。ツイッターの勝手な裏読みだ。

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