新型コロナウイルスを報じる各国のメディアをチェックしていると、ウイルスがいかに人々の不安や危機感を増幅させているか伝わってくる。
韓国の中央日報日本語(31日付)によると、チャーター便で中国から帰国する韓国人が一時滞在する臨時施設(忠清南道・牙山市)を政府が用意したところ、周辺住民から激しい反対運動が盛り上がり、説得に訪れた政府の行政安全部長官が住民から卵を投げつけられるという事態になった。「そんなに危険でないなら、あなたがたが住むところや青瓦台で海外同胞を受け入れたらよいではないか」と住民らは叫んだと伝えている。
こうした事態に文大統領は関係者を集めた会議で、「ウイルスだけでなく、過度な不安や漠然とした恐怖にも立ち向かわなければならない」とし、情報開示を透明に行うよう指示する一方、フェイクニュースには厳しく対応するよう強調した(同)。
ロイター通信日本語(31日付)によると、フェイスブック(FB)社は、WHOが国際的な公衆衛生上の緊急事態を宣言したことを受け、新型ウイルスに関する虚偽の情報を含むコンテンツを削除する方針を明らかにした。とくに、虚偽の主張、あるいは国際的な保健機関や地元の衛生当局が警告を与えているかのような陰謀説が含まれている場合は削除する。これまでFBは、健康や医療に関する虚偽の情報への対策では投稿を削除することはなかったが、今回は異例の措置に踏み込んだ。
CNN日本語(1日付)によると、アメリカのアザー厚生長官は31日、新型ウイルスによる肺炎をめぐり、公衆衛生上の緊急事態を宣言した。過去2週間以内に中国を訪問した外国人の入国を停止する方針。規制対象はアメリカ国民にも及び、過去2週間以内に中国・湖北省に滞在していた場合、最大14日間にわたり強制隔離する。緊急事態宣言はアメリカ東部時間の今月2日午後5時に発効する。
こうしてニュースをチェックしていると、とくに欧米はウイスル感染に対して敏感で行動が素早い印象を受ける。イタリアでは30日に国内で感染者を確認し31日に非常事態を宣言。フランスは24日に感染者を確認し、31日にチャーター便で200人を帰国させている。エールフランスは今月9日までの運休を明らかにしている。イギリスもチャーター機で110人が31日に帰国している。
世界史でも紹介される「黒死病」、今でいうペスト感染。14世紀、中世ヨーロッパの人口の3分の1が死亡したとされ、19世紀初頭まで繰り返しパンデミック(世界的流行)を引き起こしてきた。そのため、感染拡大のモデルとして欧米の人々の脳裏に遺伝的に刻まれているのだろうか。(※写真は、バチカン美術館のシスティーナ礼拝堂にあるミケランジェロの壁画「最後の審判」=2006年1月撮影)
⇒2日(日)午後・金沢の天気 はれ