ついに「SARS」を超えてしまった。中国・湖北省の保健当局は8日現在で、新たに89人が死亡したと発表した。中国全体での死者の数はこれで811人となった。2002年から2003年にかけて流行した新型肺炎「SARS」の世界全体の死亡者数が774人だったので、これを超えたことになる。感染者は中国全体で3万7千人となった(9日付・共同通信Web版)。
中国は隔離や検疫などの対策を施しているが、ウイルスの封じ込めには至っていない。イギリスBBCのWeb版をチェックすると、日本の感染者は86人で中国に次いで2位。クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で「隔離」されたマスク姿の日本人女性が日本の国旗に「くすり ふそく」と書いて訴える姿が紹介されている。アメリカCNNのWeb版では香港でのマスク姿の群衆が掲載されている=写真=。
このような世界のニュースをチェックして気になるのは東京オリンピック(7月24日-8月9日)とパラリンピック(8月25日-9月6日)への影響だ。2002年11月に中国・広東省で発生したSARSが終息したのは翌年7月だった。足かけ9ヵ月かかっている。新型コロナウイルスの発生は昨年12月とされるので、SARSと同じ長さの流行期間と仮定すれば終息は8月だろう。
冒頭で述べたようにコロナウイルスはSARSを超える勢いだ。日本人の感覚からすれば、「それは中国での数字でしょう」となるが、世界の目線からだと、東アジアでひと括りの話になる。ましてや今回のウイルス感染で、世界中に映像で広がった「マスク姿」はウイルス感染のシンボルになった。
気になるのが、ウイルス感染がなくても、普段でも東京はマスク姿が目立つ。この夏に東京のマスク姿が世界に流れたらどうなるだろう。「東京ではまだウイルス感染が終息していない」との風評被害を拡散させることになるのではないか、と案じたりもする。
WHOが終息宣言を出さない限り、東京オリンピック・パラリンピックの開催は無理だろう。早めに競技会場入りをする選手たちはもっとナーバスになっているに違いない。
⇒9日(日)午前・金沢の天気 くもり時々ゆき