自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆大前研一氏が説くAI時代の「新・教育論」 金沢の私学と連携

2025年02月26日 | ⇒トピック往来

  経営戦略のコンサルタントで知られる大前研一氏のメールマガジン『Aoba-BBT BUSINESS REVIEW』 を読ませてもらっていて、何度かこのブログで記事を紹介している。2024年1月19日付で、能登半島地震で水道が断たれた被災地で重宝されている「水再生装置を用いたシャワーセット」を開発したベンチャー企業「WOTA(ウォータ)」(東京)についての記事(同1月12日付)を紹介した。普通のシャワーは100㍑だと2人しか浴びられないが、同社が開発した「WOTA BOX」は100人が浴びられる。このことをテレビで知った大前氏は同社CEOに連絡した。「私が彼に電話をすると、彼はまだ能登におりましたので、私はその施設を一つ寄付するので本当に必要とするところに置いてあげてくれと伝えました」「一刻も早く、彼らの技術で困っている(世界の)多くの人々を助けてくれることを願っています」

  メールマガジンの中では理路整然と酷評するとのイメージがある大前氏だが、被災者の気持ちに寄り添ったこの記事内容に別の一面を見た思いだった。その大前氏が創業した教育関連企業「Aoba-BBT」が金沢市のミッション系スクールとして知られる北陸学院と業務提携を結ぶことになったと、地元メディア各社が報じている。大前氏は1998年に株式会社「ビジネス・ブレークスルー」を設立し、インターネットを介して学ぶオンライン大学やインターナショナルスクール、社会人向けのリスキリング(学び直し)スクールを運営。2023年10月に社名を「Aoba-BBT」として、これまでの社会人向けの実践的マネジメント教育に加え、幼児教育から高等学校課程までの国際教育を加えた。

  北陸学院は1885年に創設された石川県内で歴史ある私立学校で、幼稚園から大学までキリスト教の理念に基づく教育を一貫して行っている=写真・上=。今後、少子化が進む中で生き残り策として、国際的に通用する教育プログラム「国際バカロレア(IB)」を導入するため、グローバル人材の育成に経験豊富なAoba-BBTと業務提携を結ぶことになった。IBを通じて世界を学ぶと同時に、カリキュラムを取得すると海外の大学の入学資格になるメリットもある。

  大前氏はメールマガジン『Aoba-BBT BUSINESS REVIEW』の中で、「新・教育論」と題して述べている=写真・下=。日本の学習指導要領は10年ごとの改変だが、フィンランドなど北欧は3ヵ月ごとに改変している。世界はAI時代になりテンポが速くなっているのに日本の教育はこれでいいのか、と。さらに、偏差値に生徒たちが縛られ、それが自分の人生のように思い込んでしまっていることも多い。21世紀に求められる教育は、AIには再現できない構想力と質問力、そして多様な環境に柔軟に対応するためのリーダーシップだ、と。北陸学院の新たな教育プログラムに大前氏の「新・教育論」のコンセプトが活かされることを期待したい。

⇒26日(水)夜・金沢の天気     くもり

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