きのう朝、北朝鮮による弾道ミサイル発射で、日本政府は北海道に落下のおそれがあるとしてJラートを発出して、住民に避難を呼びかけた。その後、落下の可能性がなくなったと修正する情報を出した。Jアラートは精度の高いレーダー情報をもとに分析の上で発出されるが、メディア各社の報道によると、弾道ミサイルが途中でレーダー上から消えたことが原因とされる。
その弾道ミサイルの発射の動画が、きょう北朝鮮の国営メディア「朝鮮中央テレビ」で公開され、NHKがツイッターで上げている。ゆっくりと立ち上がる移動式発射台。そして、空中で燃料が点火されると轟音を上げて空へと突き進んでいく。実に生々しい映像だ=写真・上=。
きょうの北朝鮮の党機関紙「労働新聞」は 「조선민주주의인민공화국 전략무력의 끊임없는 발전상을 보여주는 위력적실체 또다시 출현 경애하는 김정은동지께서 신형대륙간탄도미싸일 《화성포-18》형 첫 시험발사를 현지에서 지도하시였다」との見出しで、金正恩総書記の立ち会いのもと、新型の大陸間弾道ミサイル「火星18型」を初めて試験発射したと述べている=写真・下=。
2つの国営メディアの記事によると、今回の新型のICBM「火星18型」の発射実験は、従来の液体燃料ではなく、固体燃料が使った初めての発射実験だった。液体燃料は注入に時間がかかることから、その発射の兆候が他国の衛星などで察知されやすい。固体燃料だと即時に発射でき、また、地下サイロ(格納庫)から発射できる。金総書記は「『火星18』は核反撃態勢の効用性を進展させ軍事戦略の実用性を変革させるだろう」と述べ、実験成功に満足しているとのこと。
日本の防衛にとっての問題は、冒頭でも述べたように、そのICBMを防衛省のレーダーで見失ったことではないだろうか。以下は憶測だ。北朝鮮は、液体燃料のICBM「火星17型」を北海道近辺に何度も発射している。ことし3月16日には午前7時9分に発射、飛翔距離は約1000㌔、最高高度は約6000㌔超え、70分飛行して午前8時19分ごろに北海道の渡島大島の西約200㌔のEEZ外側の日本海に落下した。今回、自衛隊の各種レーダーなどで発射直後から落下まで追尾をできなかったということは、火星18型の最高高度がこれまで想定していた火星17型の6000㌔よりはるかに超えたためではないだろうか。
北朝鮮が液体燃料から固体燃料へと、奇襲攻撃を想定したICBMにシフトさせ、さらに、高高度へと機能を拡大させているとなると、いわゆる「ロフテッド軌道」の角度を低くすれば、飛翔距離は1万4000㌔を超えてアメリカ全土が射程内に入る。憶測の話ではあるものの、日本の防衛レーダーでICBMそのものが探知できなくなったこと、そのことが問題ではないだろうか。敵基地攻撃能力などとは次元の異なる防衛の有り方が問われている。
そして、いったいどこの国が北朝鮮をコントロールしていくのか。このままいけば、「核反撃態勢」を整えるために、7回目の核実験も時間の問題ではないだろうか。
⇒14日(金)午後・金沢の天気 くもり
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