ことし1月4日に能登半島の尖端、珠洲の海岸に船体の全長が50㍍ほどある鉄製の船が海岸に流れ着いているのを住民が見つけ、海上保安庁に連絡した。船体にはロシア語が書かれていて、海上保安庁では、ロシアで射撃訓練の際に「標的船」として使われる船に似ていると公表した(1月4日付・朝日新聞ニュースWeb版)。このニュースは今にして思えば、ロシアが日本海で軍事訓練を繰り返していることの証左なのだろう。
共同通信ニュースWeb版(4月14日付)によると、ロシア太平洋艦隊の潜水艦2隻が14日、日本海で巡航ミサイル「カリブル」の発射演習をした。2隻は最新ディーゼル潜水艦の「ペトロパブロフスクカムチャツキー」と「ウォルホフ」で、ミサイルは敵の船を模した海上の標的に命中したとしている。
日本海では今月11日からアメリカ海軍の原子力空母「エイブラハム・リンカーン」と駆逐艦「スプルーアンス」、海上自衛隊の護衛艦「いなづま」などが共同訓練を行っている。日本海での共同訓練は、北朝鮮が核実験やICBMの発射を繰り返した2017年11月以来のこと(13日付・NHKニュースWeb版)。そうした日米の動きを牽制するかのように、ロシアの潜水艦による巡航ミサイルの発射演習を行った。日本海に緊張感が漂う。
総理官邸公式サイトによると、松野官房長官は14日の記者会見で、読売新聞の記者が15日に北朝鮮の金日成主席生誕110周年にあたる「太陽節」を迎えることについて質問した。それに松野氏はこのように返答している。「北朝鮮は、国際社会に背を向けて、核・弾道ミサイル開発のための活動を継続する姿勢を依然として崩していない。今後もさらなる挑発活動に出る可能性も考えられる」。(※写真は3月24日に北朝鮮が打ち上げた新型ICBM=同月25日付・労働新聞Web版)
こうした政府の見解がベースにあるのだろう、きょうのNHKニュースWeb版(15日付)によると、政府は北朝鮮の弾道ミサイルの発射を想定して、国民保護法に基づいて、自治体と共同で住民も参加して実施する避難訓練を4年ぶりに再開させる方向で調整を進めるという。この避難訓練とは、北朝鮮からミサイルが発射され、日本の国土に到達することを想定し、政府が全国瞬時警報システム(Jアラート)で速報する。それを受けて住民がコンクリの建物などに避難する訓練だ。2017年から日本海側などの自治体で行われていたが、2018年6月に米朝首脳会談が行われて以来、実施されていなかった。
自身もこの「Jアラート」訓練に参加したことがある。2017年8月30日に能登半島の輪島市で実施された。この年の3月6日、北朝鮮は弾道ミサイルを4発発射し、うち1発を輪島市の北200㌔の海上に着弾させた。同市には航空自衛隊の監視レーダーサイトがある。避難訓練はリアリティがあった。9時ちょうどに防災行政無線の屋外スピーカーから「これは防災訓練です」と前置きして、Jアラートの鈍い警報音が流れた。その後「ミサイルが発射された模様です」「ただちに頑丈な建物や地下に避難してください」とアナウンスが流れた。防災行政無線による避難の呼びかけは10分間ほど続いた。輪島市文化会館では住民による避難訓練や、市内の小学校では机の下に入り、身をかがめて頭を守る訓練も行われた。
ロシア潜水艦によるミサイル発射、北朝鮮のICBMなどはまさに「今そこにある危機」でもある。危機のステージが日本海側にシフトしている。
⇒15日(金)午後・金沢の天気 くもり
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます