自在コラム

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★キッシンジャー氏の「外交遺産」は次に繋がるのか

2023年12月02日 | ⇒メディア時評

   前回ブログの続き。キッシンジャー氏逝去をめぐる中国の対応はどうか。TBSニュースWeb版(30日付)によると、中国外務省の汪文斌・報道官は定例会見で、「キッシンジャー博士は長い間、中米関係の発展に関心を持って支持し、中国を百回以上訪問して、中米関係の正常化に歴史的な貢献をしてきた」 「中国の人々の古くからの友人であり、人々は中米関係への重要な貢献を忘れないだろう」と述べ、習近平国家主席がバイデン大統領に弔電を送り、哀悼の意を表したことを明らかにした。

   また、汪報道官は「キッシンジャー博士は生前、中米関係を非常に重視し、中米関係が両国と世界の平和と繁栄に重要だと認識していた」と述べ、「中国とアメリカはキッシンジャー博士の戦略的ビジョンを受け継ぎ、中米関係の健全で安定的な発展を推進すべきだ」と指摘した。

   前回ブログでも述べたが、1971年7月にキッシンジャー氏が密かに中華人民共和国を訪れ周恩来首相と会談し、その後、翌年2月にニクソン大統領が訪中すると発表し、世界をアッと驚かせた。このことがきっかけで、中華人民共和国にも大きな転機が訪れた。ニクソン大統領の訪中を公表すると、国連がにわかに動いた。当時の国連の常任理事国は中華民国だった。その年の10月にいわゆる「アルバニア決議」が国連で発議され、中国の代表権は中華人民共和国にあると可決され、常任理事国を引き継いだ。アルバニア決議にはアメリカも日本も反対はしたものの、この流れのきっかけをつくったのはまさにキッシンジャー氏であり、中国にとっては大恩人だろう。

   この中国の恩人のアメリカ国内での評価はどうか。ウォール・ストリート・ジャーナルWeb版は「キッシンジャー氏が開いた中国への扉」と題して動画で特集を組んでいる=写真、1973年・毛沢東主席とキッシンシャー氏の会談=。その論調はキッシンジャー氏はアメリカ史上、最も影響力があると同時に、最も評価が分かれる外交官の一人だったとも述べている。つまり、中国を利しただけの外交だったとの評価もあるようだ。

   キッシンジャー氏はことし7月にも、米中の対立が続く中、北京を訪問して習近平国家主席と会談、11月15日に行われた米中首脳会談に向けた根回しをしたとされる。過去50年で100回以上も中国を訪れ、まさに米中関係の架け橋だった。いま米中関係が悪化している中で、キッシンジャー氏の「外交遺産」は次に繋がるのか、関係を再構築できるのか、どうか。

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