自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆ササ刈りとパンダ

2018年10月28日 | ⇒キャンパス見聞

    金沢大学の角間キャンパスは中山間地にあり、200㌶と広い。学長が音頭を取って年に数回、学生たちと山の草刈りをする。題して「学長と汗を流そう!角間の下草刈りプロジェクト」。きょう(28日)午前中、そのイベントに参加した。傾斜地のささやぶを鎌で刈っていく作業だ=写真・上=。

    ササの種類はクマイザサで、葉の数が多いもので9枚もある。茎は一本ではなく、枝分かれしている。高さは1.5㍍ほどだろうか。幅広の葉は殺菌力があるとされ、当地では「笹ずし」といった食品加工にも使われている。学生たちの草刈りを指導してくれたNPOのスタッフが話題提供をしてくれた。ササとパンダの話である。

    パンダのかわいらしさは動作もさることながら、顔立ちにある。広いおでこと丸いあご。パンダは繊維質の多いササや竹を噛みつぶし、細胞に含まれる栄養分を取っている。これは堅いものを噛みつぶすときにあごを強力に動かす筋肉が頭蓋骨の上に付いているからなのだ、とか。そのためおでこが広く、あごが広く丸くなっている。ササや竹を食べる習性があの顔立ちをつくっているのかと納得した。

    初めてパンダをじっくり見たのは2008年1月のこと。中国・西安市の中心から70㌔ほど離れた「珍稀野生動物救護飼養研究センター」を見学した。研究センターにはパンダのほかトキやキンシコウ(「西遊記」のモデルとされるサル)など希少動物が飼育されていた。ここでササや竹をむさぼるように食べるパンダの姿=写真・下=が印象的だった。そのときに係員に質問した。「なぜパンダはササや竹を食べるのですか」と。即答だったことを覚えている。「パンダは(中国の)山岳地帯の奥地に生息していますが、それは生存競争を避けるためです。ササや竹は冬でも枯れず年間を通して豊富にあります。身を守るために食べ物には無理せず、質素なものを選んだ動物なのです」と。

    今にして思えば、生存競争を避ける選択があのかわいらしさを創っているのか。ただ、中国人の係員はこうも言った。「パンダは見た目はかわいいですが、よくみると目つきは鋭く、怖いですよ。うかつに近寄ると、鋭い爪ではたかれますよ」。パンダの意外な一面を知った思いだった。

    急斜面での草刈りの作業は進み、横に移動しようとしたとき、刈って下に置いたササの葉の上にうっかりと足を乗せてしまい、足を滑らせた。そのまま、3㍍下にころげ落ちた。軟らかな土壌だったのと岩石などがなかったことが幸いで、けがはなかった。その様子を見ていたスタッフがひと言。「コロコロと落ちる様子はまるでパンダのようでしたよ」と真顔で。たとえが絶妙で、我ことながら笑ってしまった。

⇒28日(日)夜・金沢の天気   くもり    


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