気になったニュース。NHKの放送だけ映らないように加工したテレビを購入した東京都内の女性が、NHKと受信契約を結ぶ義務がないことの確認を求めた訴訟の判決で、東京地裁は26日、請求を認めた(27日付・共同通信Web版)。NHKの受信契約をめぐる訴訟は各地で起きているが、ほとんどがNHK側に軍配が上がっている。久しぶりに視聴者側の勝ちではないだろうか。
最近の判決で印象的なのは、「ワンセグ訴訟」だ。自宅にテレビを置かず、ワンセグ機能付きスマホやカーナビの場合でも、NHKと受信契約を結ぶ義務があるかどうかの訴訟が相次いでいた。2019年3月、最高裁は契約義務があるとして原告側の上告を退ける決定をした。NHK側の勝訴とした東京高裁の判決が確定した。
そもそもこれまでなぜ訴訟が相次いだのか。放送法そのものが不備が原因だ。放送法では「(日本放送)協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」(放送法64条1項)とある。スマホは持つものであって、設置ではない。常識で考えれば、誰しもがそう思う。今でもスマホでもPCでもタブレットでも視聴できる時代だ。ところが、放送法は制定された1950年のテレビの法律なのだ。東京高裁の判決では「受信設備の設置には携行することも含まれる」と判断したが、これは言葉の勝手解釈だろう。法律の文言を変えればよいだけの話である。
今回26日の判決はある意味で画期的だ。NHKだけを受信不能とするフィルターをテレビとアンテナの間に取り付ける。つまり、NHKの周波数帯をカットする仕組みだ。裁判で、NHK側は電波を増幅するブースターを取り付けたり、工具を使って復元すれば、放送を受信できると主張した。これに対し、裁判長は女性の設置したテレビを「NHKを受信できる設備とは言えない」「ブースターがなければ映らないのであれば契約義務はない」と退けた。
「ウィキペディア」によると、NHKの周波数帯を減衰するフィルターを開発したのは筑波大学の映像メディア工学の研究者だ。訴訟を起こした女性はこの研究者からフィルターを組み込みんだテレビを直接購入した。NHKや民放にかかわらず、視聴したくない放送を見ないようにするという発想から、見たくないテレビを見れないようにテレビそものにフィルターをかけるという視聴者ニーズが起きるのではないだろうか。まさにテレビのオーダーメイド化だ。今回の判決をきっかけに新しい商品として開発が進む、と予感する。
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