銃弾で死去した安倍元総理を国葬とする件は、あす22日に閣議決定するようだ。戦後、総理経験者の国葬は1967年の吉田茂氏以来で戦後2例目となる。同じく国葬となる人物でも、吉田氏と安倍氏のイメージはわれわれシアニ世代では異なる。
吉田氏は戦後の混乱のただ中で、日本国憲法の公布(1946年)やサンフランシスコ平和条約の締結(1951年)、日米安全保障条約の発効(1952年)にこぎつけた。ひとことで言うならば「戦後日本の礎を築いた政治家」、というイメージが脳裏に刷り込まれている。では、安倍氏のイメージはどうか。「アベノミクス」「憲政史上最長の通算8年8ヵ月」「日米外交の円滑化」だろうか。
国葬には吉田氏がふさわしく、安倍氏は物足りないと言っているのではない。戦前は「国家に偉功ある者」など対象者を定めた「国葬令」があったものの、戦後は国葬の対象者などを明文化した法令はない。つまり、国葬の是非については国民はイメージで語るしかないのだ。岸田総理は国の儀式を所掌するとした内閣府設置法があり、閣議決定により国葬をすると表明した。国葬の基準もないのに、行政府だけの判断でいいのだろうか。
NHKの世論調査(今月16-18日)よると、岸田内閣を「支持する」は59%、「支持しない」は21%だった。しかし、岸田内閣が安倍氏の国葬を行うことについては、「評価する」が49%、「評価しない」が38%だった。つまり、安倍元総理の国葬の評価については世論は分かれている。この背景にあるのは、安倍氏への政治的評価ではあることは言うまでもない。「憲政史上最長の8年8ヵ月」の重責を担ったが、一方で、長期政権の歪みも目立った。「忖度」という言葉が盛んに報じられた加計学園問題や森友問題などはその事例だろう。
あすの閣議決定では国葬は9月27日に執り行うようだ。ただ、ここにきて新型コロナウイルス感染の第7波が襲来している。きょうは全国で18万6246人、これで2日連続で過去最多となった(21日付・NHKニュースWeb版)。地元石川県でも1628人とケタ違いの増え方だ。これに対して、政府は行動制限などを行う必要はないとしている。
しかし、国葬となれば、弔問外交も活発化するが、コロナ禍の第7波がどのような影響をもたらすのか。かつての盟友だったアメリカのトランプ元大統領は弔問に訪れることができるのだろうか。そもそも「国葬」、されど「国葬」だ。
(※写真は2017年11月、日本を初めて訪れたトランプ大統領と安倍総理が「霞ケ関カンツリー倶楽部」でゴルフを行う様子=総理官邸ホームページ)
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