先日、西伊豆某所でポンス・ブルックス彗星を撮影した後に、スマホで星空を撮ったらどうなるか試してみました。
事前に入手していたスマホ用三脚ホルダーを介して普通の三脚にGoogle Pixel 7aを載せ、固定撮影でテストを実施。
ちなみに夜景撮影モードで手持ち状態だと画面上のシャッターボタンが🌜みたいな表示で長時間露出はできませんが、
三脚搭載後に雲台を操作して構図を決め、しばらく静止させておくと ✨ が左右反転したような表示に変わります。
それが天体撮影モードに切り替わった合図らしく、そのままそーっとシャッターボタンをタップすれば長時間露出が
開始されます。なお、十分に暗い空だと撮影時間は自動的に4分となるみたいです。
で、南の空に見えていた「冬の大三角」を広角で狙い、ほぼ撮って出しの画像(解像度のみ変更)がコレです。
意外と暗い星まで写っており、淡いとされる冬の天の川も捉えているようです。しかしまぁ周辺減光が酷いですねぇ。
後でExif情報を見たら、撮影条件は絞りF1.9(=開放)/露出時間16秒/感度ISO797となってました。小さいレンズでも
開放絞りだと口径食が発生して周辺光量が落ちるってことですかねぇ? あと不思議なのは撮影に4分もかかったのに
露出時間が16秒となっていることです。よく調べたらカメラの内蔵ストレージには静止画像の他にタイムラプス動画
とみられるMP4ファイルも保存されていて、PCに転送して動画フレーム数をチェックしてみたら15でした。
単純計算で16秒×15フレーム=240秒ですから、ちょうど4分ってことになります。これって16秒露出で15連写を行って
加算平均コンポジットしてるんじゃね?って推測できます。しかも、4分間の固定撮影で避けられない日周運動による
星のズレをフレーム間で自動補正してスタッキングするような内部処理まで行っているようです。
さて、周辺減光の問題に戻りますが、せっかく暗い星まで撮れてるのに中央部と端で露光量が一様になってないのが
残念なので、画像処理で救済できないものかと考えました。やはり一番確実な方法は、補正用の画像を別途用意して、
いわゆるフラット補正を施すのがベストと思って、イラストの複写等で用いられるLEDトレース台(ライトビュアー)に
スマホの背面カメラ側を押し当てるように静置してフラットフレームを撮影してやろうと画策。ところが、同じ天体
撮影モードで撮るとLEDパネルの輝度が高過ぎて露出オーバーの真っ白なイメージになってしまったので、太陽撮影で
用いるND100000フィルターを動員して撮ることになりました。で、得られたフラット画像がコレです。
濃度分布に結構クセがあって、周辺減光というより中央テカリって感じがしないでもないイメージです。
コレを補正用画像にしてAstroArts社のステライメージ(天体画像処理ソフト)でフラット補正処理を行い、さらに若干の
コントラスト調整等を施して仕上げた画像がこちら。
かなりフラットなイメージにはなったものの、色ノリがイマイチで寂しい感じです。それでも淡い天の川の流れが
割としっかり分かり、オリオン座の東(左)寄りのエリアにはバーナードループが薄らと確認できたりします。
比較対照用として、天体撮影に特化されたミラーレス一眼で似たような天域を数年前に撮っていた画像がこちら。
これは28mm広角レンズ使用/絞りF4/露出時間5分で撮ったものです。撮影場所や季節などの諸条件も異なるので、
フェアな比較とは言えませんが、赤い星雲の描写はさすがに数段上です。レンズの口径やCMOSセンサーのピクセル
サイズが大きくて感度的に有利な上に、長波長光が写りやすい仕様のカメラでもあり、さらには赤道儀のモーター
駆動で自動追尾して撮ったものなので、当然と言えば当然の差でしょうけどね。
でも、微光星の写りについては大差無い印象で、スマホを通常三脚に載せるだけのお手軽機材で、十分綺麗に撮れて
しまうとは大したもんだなーって感心してしまいました。夏の濃い天の川であれば、もっと見映えの良い写真が撮影
できそうな気がします。いずれ流星の撮影にもチャレンジしてみたいなぁ・・・
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