東京IPO IRセミナー2016(1)6054リブセンス
6054リブセンス
株価等はこちら。
ここは、前回「利益水準が低すぎて、なお、まともな投資対象として意識しづらい。」
と書きました。
個人的にはIPO時に公募が取れて、すぐに売却で16万ほど利益が出ていました。
4年半ほど前ですね。
ここの事業内容はアルバイトや転職等の求人情報サイトの運営で、いわゆるIT系の企業ということになります。
代表者名の村上太一氏は学生時代にこの企業を起業し、短期間で東証一部上場企業にまで
しています。これはわりと有名かと思います。
昨日、話してくれたのもこの村上氏で、まだ20代の若さです。
語り口はソフトで話はわかりやすく、賢い人なんだろうなという印象でした。
しかし、経営者、代表者が若いかどうかは、投資対象としての判断には基本的には関係ありません。
なので、投資関係のこうしたIRセミナーでは、このことは枕的に一瞬ふれるぐらいで
いいと思います。←スライドでの紹介は不要だと個人的には思いました。
で、肝心の業績ですが、利益水準が非常に低いです。
他にない画期的な事業内容で、現在は先行投資段階ということであれば、それはマーケットでの評価
が一時的にせよ高くなることはありえます。
また、成功の確率は高いとはいえないが、当たれば満塁ホームランもありえるかもしれない
「バイオ・創薬宝くじ」のような投資も、私はしませんが、それはそれとしてありうるかもしれません。
しかしここは、売上高の伸びが急ということもありませんし、
利益水準は2016.12期の会社予想の上限が3.38円です。
配当は無配であり、優待も設定されていません。
「求人情報サイト」というのも、今では新規性はさして感じられません。
投資する側としては、この銘柄を保有する積極的な理由が見出しにくいのです。
サービス別での売上高は公表されていますが、サービス別の利益というのは公表されていません。
コストの部分で、どの部分をどのように計上するか等難しい面はあると思いますが、
いったいどこの何がどう利益につながっているのか、それが見えにくいです。
ここのところは開示の方法を工夫してほしいところです。
「転職会議」というサービスは利用者の伸びが著しいというコメントはありましたが、
利用者が伸びれば、それが即、利益につながるとも限らないというところが難しいです。
ここのビジネスモデルとして、「成功報酬型」をとっているという説明がありました。
つまり、求人の情報を掲載する側は掲載する時点では費用は原則として発生せず、
実際に人の採用につながった時に費用を支払うという形です。
だから、求人情報を出す側としてのハードルは、それは低いでしょう。
これはメリットではありますね、とりあえず。情報を載せる広告費的費用は不要ということですから。
で、実際の利用者側は、自分がここの情報を利用して就職すればお祝い金がもらえるという
仕組みになっています。これは嬉しいといえば嬉しい、複数のサイトに同じ情報が掲載されていれば
お祝い金を貰える方を利用しようと思うのはいわば当然で、そういうサイト利用促進の誘因
となる、お祝い金が出ることが、というのも確かでしょう。
が、逆に、リブセンス側としては、いくら情報の掲載量が増加したとしても、それが、採用、
就職というところにつながらなければ、利益につながらないのです。
なので、景気がよくなったり、人手不足になったりする状況というのは、
求人情報サイトにとっては追い風で、売上も利益も伸びやすいのかと単純に思ったのですが、
いくら人手不足で、求人の方があったとしても、実際に採用、就職につながらなければ、これは
利益にならないのです。
つまり、景気がよくなったり、人手不足になったりしていること自体はリブセンスの利益にパラレル
には直結しない。
このビジネスモデルは特徴的ではありますが、必ずしも強みとばかりは言い切れないという印象
でした。
実際、リブセンスとしても、単純な成功報酬型ではなく、様々なオプション的な課金の仕組みや、
採用意欲があまり強くない企業の情報の整理等のことを考えだしているという説明がありました。
ここは、不動産関係の情報とか医療関係の情報の集約的サイトの運営もすすめてきています。
ただ、これらはなかなかすぐに利益には直結していきにくいでしょう。
場合によっては、速やかな撤退の判断が求められる場合もありそうです。
かつてのITバブルの時であればともかく、
今や「情報サイト」そのものは珍しくもなく、当たり前の「インフラ」になりつつあります。
その中で、リブセンスがどう独自の特徴に磨きをかけ、筋肉質で高収益の企業として成長して
いけるのか、率直に言って、そこを実感したり、可能性を強く感じたりすることはできませんでした。
逆に言えば、プレゼンではこの部分を強調して投資家に対してアピールすることが必要であり、
プレゼンにも工夫の余地が大きいと感じました。
こうした個人向けIRのイベントで説明をされる姿勢自体はいいですが、
逆張りを基本とする投資スタンスの私でも、ちょっと現時点では投資対象として意識することは
難しかったというのが結論です。
ちょっと厳し目のコメントになりましたが、会社の方にはここのURLをお知らせしておきました。
つづく。
6054リブセンス
株価等はこちら。
ここは、前回「利益水準が低すぎて、なお、まともな投資対象として意識しづらい。」
と書きました。
個人的にはIPO時に公募が取れて、すぐに売却で16万ほど利益が出ていました。
4年半ほど前ですね。
ここの事業内容はアルバイトや転職等の求人情報サイトの運営で、いわゆるIT系の企業ということになります。
代表者名の村上太一氏は学生時代にこの企業を起業し、短期間で東証一部上場企業にまで
しています。これはわりと有名かと思います。
昨日、話してくれたのもこの村上氏で、まだ20代の若さです。
語り口はソフトで話はわかりやすく、賢い人なんだろうなという印象でした。
しかし、経営者、代表者が若いかどうかは、投資対象としての判断には基本的には関係ありません。
なので、投資関係のこうしたIRセミナーでは、このことは枕的に一瞬ふれるぐらいで
いいと思います。←スライドでの紹介は不要だと個人的には思いました。
で、肝心の業績ですが、利益水準が非常に低いです。
他にない画期的な事業内容で、現在は先行投資段階ということであれば、それはマーケットでの評価
が一時的にせよ高くなることはありえます。
また、成功の確率は高いとはいえないが、当たれば満塁ホームランもありえるかもしれない
「バイオ・創薬宝くじ」のような投資も、私はしませんが、それはそれとしてありうるかもしれません。
しかしここは、売上高の伸びが急ということもありませんし、
利益水準は2016.12期の会社予想の上限が3.38円です。
配当は無配であり、優待も設定されていません。
「求人情報サイト」というのも、今では新規性はさして感じられません。
投資する側としては、この銘柄を保有する積極的な理由が見出しにくいのです。
サービス別での売上高は公表されていますが、サービス別の利益というのは公表されていません。
コストの部分で、どの部分をどのように計上するか等難しい面はあると思いますが、
いったいどこの何がどう利益につながっているのか、それが見えにくいです。
ここのところは開示の方法を工夫してほしいところです。
「転職会議」というサービスは利用者の伸びが著しいというコメントはありましたが、
利用者が伸びれば、それが即、利益につながるとも限らないというところが難しいです。
ここのビジネスモデルとして、「成功報酬型」をとっているという説明がありました。
つまり、求人の情報を掲載する側は掲載する時点では費用は原則として発生せず、
実際に人の採用につながった時に費用を支払うという形です。
だから、求人情報を出す側としてのハードルは、それは低いでしょう。
これはメリットではありますね、とりあえず。情報を載せる広告費的費用は不要ということですから。
で、実際の利用者側は、自分がここの情報を利用して就職すればお祝い金がもらえるという
仕組みになっています。これは嬉しいといえば嬉しい、複数のサイトに同じ情報が掲載されていれば
お祝い金を貰える方を利用しようと思うのはいわば当然で、そういうサイト利用促進の誘因
となる、お祝い金が出ることが、というのも確かでしょう。
が、逆に、リブセンス側としては、いくら情報の掲載量が増加したとしても、それが、採用、
就職というところにつながらなければ、利益につながらないのです。
なので、景気がよくなったり、人手不足になったりする状況というのは、
求人情報サイトにとっては追い風で、売上も利益も伸びやすいのかと単純に思ったのですが、
いくら人手不足で、求人の方があったとしても、実際に採用、就職につながらなければ、これは
利益にならないのです。
つまり、景気がよくなったり、人手不足になったりしていること自体はリブセンスの利益にパラレル
には直結しない。
このビジネスモデルは特徴的ではありますが、必ずしも強みとばかりは言い切れないという印象
でした。
実際、リブセンスとしても、単純な成功報酬型ではなく、様々なオプション的な課金の仕組みや、
採用意欲があまり強くない企業の情報の整理等のことを考えだしているという説明がありました。
ここは、不動産関係の情報とか医療関係の情報の集約的サイトの運営もすすめてきています。
ただ、これらはなかなかすぐに利益には直結していきにくいでしょう。
場合によっては、速やかな撤退の判断が求められる場合もありそうです。
かつてのITバブルの時であればともかく、
今や「情報サイト」そのものは珍しくもなく、当たり前の「インフラ」になりつつあります。
その中で、リブセンスがどう独自の特徴に磨きをかけ、筋肉質で高収益の企業として成長して
いけるのか、率直に言って、そこを実感したり、可能性を強く感じたりすることはできませんでした。
逆に言えば、プレゼンではこの部分を強調して投資家に対してアピールすることが必要であり、
プレゼンにも工夫の余地が大きいと感じました。
こうした個人向けIRのイベントで説明をされる姿勢自体はいいですが、
逆張りを基本とする投資スタンスの私でも、ちょっと現時点では投資対象として意識することは
難しかったというのが結論です。
ちょっと厳し目のコメントになりましたが、会社の方にはここのURLをお知らせしておきました。
つづく。