20th anniversary投資のお話(4)記録と記憶
かつて「風だ!光だ! 株式運用猛レース」というメールマガジン
で、ネット上のお仲間と運用成績を競い合っていたことがあります。
ここにバックナンバーがありますが、期間は10年以上になります。
最終が第46-11号となっていて、1クールが3ヶ月ですので、
11年半ということになりますか。
http://archives.mag2.com/0000014908/
これは四半期ごとの運用の騰落率を競うというもので、
すべて実際の売買を記録するというとにしていました。
他の人の運用成績に勝とうが負けようが、そんなことは実際はどうでもいいのです。
順位は楽しみとしてつけていたという感じです。
また、他の人の売買や銘柄選択にはそれぞれスタイルがあり、直接にそれが自分自身の運用
の参考になることはまれでした。
ただ、これをしていると、必然的に毎週ごとの自分の売買や運用状況をまとめることになります。
運用開始当初から、自分の売買記録はつけていましたが、毎週、それをまとめるという習慣が
できた、記録をつけることが普通になったということは、とても有益だったという実感があります。
今はわりと時間に余裕がありますが、当時はバタバタと過ごしておりました。
そういう中でも原稿を落とすことはなかったと思います。まあ、今ほど頻回に売買しているわけ
ではなく、まとめるのにもそんなに時間はかかりませんでしたが。
で、今も売買記録は原則としてその日及び翌日に、売買手数料等も含めてエクセルにすぐ記載する
ようにしています。
それは、まずは、証券口座は今時すべて一般口座であるため、確定申告のためにはどうしても売買記録を
きちんと記録しておく必要があるからです。
売買記録は、時系列で順番に全部記録したものと、個別銘柄ごとに記載したものとの2つがあります。
過去の記録には一部不備もあるのですが、これがないと、最近の売買や損益状況がどうなのか、
個別銘柄の損益状況がどうなのか、いったい損をしているのか利益があるのか、それはどのぐらい
なのかがよくわからなくなってしまいます。
これはかなり致命的というか、過去記録がないと、暗闇の中で手当たり次第に手に触れたものを
つかんだり投げたりしているような売買(どういうこと?)になってしまうような感じがします。
あまり自分の売買や損益にこだわりすぎるのもまた適切ではない場合がありますが、
とりあえず売買記録を全部きちんとつけておき、いつでも見られるようにしておくことは
非常に重要だと思います。
で、この売買記録を見ていると、過去の記憶というのが蘇ります。
儲かった喜びよりも損失の苦痛の方を大きく感じるというのは行動ファイナンスの基礎ですが、
確かにそういうところはありますね。
個別銘柄での大損失3銘柄は以下。
3038神戸物産 -160万
フーズネット -130万
エルピーダメモリ転換社債-90万
これはあちこちで書いているものでずか、負けた時には自分に原因があると考えることが多いです。
勝った時は、勝ち方については「たまたま」「まぐれ」の要素が大きいと思うのですが。
上記の3つについては
・希望的観測で過大なポジジョンを引っ張りすぎ、個別銘柄での損益にこだわって損失を大きくした。
・地元銘柄、株主優待といった点で投資対象を決め、通常の投資尺度からは適切ではない銘柄選択をした。
・BBB格でも事業環境の悪化によっては唐突に破綻することがあり、債券への投資でもデフォルトと
なれば損失が大きくなることがある。
といったことを実際に経験して学んだということになります。
授業料380万は高いですね。「その程度かい」と思われる方もあると思いますが、当時の自分としては
かなり痛かったです。
こういう損失は、先日の英国投票の時も時価評価では一時的に-200万とかをくらってるわけですが、
それとは感覚的に全然違います。
記録をきちんとせずに損益の状況が明確になっていないこと、含み損状態の銘柄は見るのも
嫌になり、長期に塩漬け放置となり「決定麻痺」的状況に陥ってしまうこと、といった状況は
避けるのが賢明かと思います。