真贋 | |
クリエーター情報なし | |
双葉社 |
図書館本。
曜変天目茶碗の贋作というのが本書の中で重要な役割を果たします。
職人気質?の窃盗犯、年配の刑事と若手の刑事、それぞれの師弟関係のようなものが
描かれ、そこは深めていけばなかなか面白い人間ドラマになったと思うのだけれど、どうも全般的に
描写があっさりしすぎていて、気持ち的にはいっていけません。
まあ、私の場合は、基準が高村薫の「レディ・ジョーカー」だったり「冷血」だったりして、
描写が濃すぎるような作品と比較してしまうので、そのように感じるのかもしれませんが。
それから、真贋を見分ける鑑定の場面や、贋作と本物を入れ替える場面の描き方も、あまりにあっさり
しすぎています。なぜその作品の真贋を見抜くことができる「目利き」なのか、
タイトルが「真贋」なのに、そこが描ききれていないところが弱いという印象でした。