江戸東京博物館と両国中学校の間の散歩道に徳川家康の鷹狩りの巨大像があるが、その前後の桜の木に小さな白い花が咲いている。季節を間違えるほどの暖かさでもないのに、おかしいなと思って並木を辿ってゆくと、木の幹に「ふゆざくら」という銘板がかかっている。
花はよく見ると小さな花弁が点々とついており、あのソメイヨシノの絢爛豪華な花とは対極にある。懸命に小さな白い花をつけ、寒空に咲いている。花の周りだけほんわかと暖かさを感じる。高校受験を控え、校舎からは三々五々、集団で中学生が下校してくるが、屈託を見せず朗らかな様はまるでこの桜のようだ。
都会の小さな緑地に咲いた可憐な花に、寒さと暖かさを感じた。