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香月日輪「妖怪アパートの幽雅な日常」7~10巻講談社文庫 2007年単行本刊
沢山の本を貸してくれている畏友がその本を選んでいる時「これ私がハマっているのだけど読みます?」と言って入れてくれたのがこの香月日輪シリーズ。何か妖怪物というのは得意なジャンルではなかったので、家ではちょっと目を通しただけでほったらかしにしておいた。
何かの拍子で「大江戸妖怪かわら版」をパラパラっとめくったら案外まともなことが書いてある。妖怪の霊能力の紹介本ではなく、現世で恵まれない人間が妖怪の世界に入ってそこで翻弄されながらも、色々気付かされながら人間としてまっとうに成長してゆく。と言うような本である。それでこの著者を見直し、腰を据えて読んでみたら中々のものであった。畏友が薦めるわけが今頃わかってきた。
こちらのシリーズは高校生が主人公で、思春期のゆらぎや、つっぱり、もがきを経験してゆく、まともな青春ドラマだ。反抗期、セックスへの衝動、友人・グループ・芸能人への傾倒、それらについて「経験してみるのはいい。だが依存はダメだ」「自分でコントロール出来ないものに手を出すな」と宣う。「勉強は筋道を立てて考える頭の訓練」その考えができなければ本当の大人にはなれない。とも言う。
生徒も先生も、等身大に描けていて、決して優等生ではなく、ちょいワルのところは小説だからだと許そう。だがよく読んでみればこれらは立派な教育論である。刹那的で皮相的な欲望や損得勘定に流されがちな(大人だって大きなことは言えないが)、今の高校生や、中学生にも読ませたい、まっとうな内容である。
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