緑地保全協定

 もう半月ほども前になるが、神奈川新聞に川崎市と玉川学園(東京都町田市・小原芳明理事長)とが同市麻生区岡上地区に所在する森林約4.2ヘクタールについて、緑地保全協定を締結した、との記事か掲載されていた。

 先に玉川学園・東京都町田市と書いたが、地図を見ると同学園が東京都町田市を中心に横浜市青葉区奈良北地区および川崎市麻生区岡上地区(東京都町田市と横浜市青葉区の間に位置する飛び地)にまたがる広大なキャンパスを持っていることが分かる。

 今回はその敷地の内、同学園が設置する玉川大学農学部が演習林として利用している川崎市麻生区岡上地区に所在する部分について協定を結んだと言うことらしい。地続きの和光大学とも0.6ヘクタールについて同様の協定を既に結んでいたらしいが玉川学園との協定は4.2ヘクタールであり、その規模は川崎市のこれまで協定締結先としては最大規模だという。

 恩田の森すみよしの森あかねの森の間を流れる奈良川を辿ると玉川学園のキャンパス内に至る。その源流域は横浜市青葉区奈良北地区、今回の川崎市との協定地域のからは山二つほど南側に当たり、いまでも谷戸田が広がり横浜の原風景を見ることができる。奈良川の源流そのものは同学園キャンパス内にある「奈良池」のはずであるが、残念ながら奈良川を遡ってもフェンスに阻まれ奈良池にたどり着くことはできない。

 都会の中に残された自然を守るための施策を行政もあれこれ考えてはいるが、いずれも地権者の協力がまず前提である。私の住まいの近くでは青葉区寺家地域の地権者が同様の協定を横浜市と締結しその自然を比較的良く残している。ただし、広報され多くの人が訪れるために自然のオーバーユースになっているきらいもあり、時折訪ねる私としては忸怩たるものがあることも事実である。

 都会の中に残された自然の保全と利用とはそのバランスが難しい。しかし、行政、地権者、市民が力を合わせて協議し努力しないことにはあっという間に消えてなくなってしまう儚い都会の自然でもある。多くは行政と地権者に期待するとしても、利用者としても考えるべきこと、できることは多いはずである。ゴミの投げ捨て、野草の盗掘などは言語道断である。

今日の一枚は、なるせの森の新緑。モミジの紅い若葉とのコントラスト。
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