「小遣い」って何だ?

 消費者金融のレイクの調査によれば、サラリーマンの小遣いの平均が昨年より更に5,000円減少し40,000円になったとの事。更に細かなデータを見ると年代別では20代が44,000円なのに対して30代40,000円、50代38,000円と年齢が上がると共に減少している。未婚だと51,000円が既婚だと33,000円、子ども無しだと48,0000円なのに子どもがいると32,000円。共働きだと35,000円なのに奥さんが専業主婦だと31,000円。首都圏では52,000円なのにそれ以外の地域では37,000円と、当たり前だがその属性によって小遣いの額は大きく変わる。だから、一ヶ月の小遣い40,000円が当てはまるのはどんなモデルなのかがまったくはっきりしない。

 もっと判らないのが「小遣い」の定義である。手元にあった、日本一面白いと評判の新明解国語辞典第四版には「その人の日常的な雑費に当たるお金」とある。判ったのか判らないのか判らないような定義である。大体、日常的な雑費って何だ?雑費と云えば、誰しもが思い付く勘定科目にすんなりと分類(当てはめ)できない支出と郷秋<Gauche>は考えるが、もしそうだと仮定するならば、定期代は明らかに「交通費」、昼食代は間違い無く「食費」だが、この二つが小遣いに含まれるのか含まれないのかによって、小遣いの額が多いとするか少ないとするのか判断が大きく違ってくるだろう。

 例えば郷秋<Gauche>が自宅から恵比寿の会社まで通勤するとすれば(あくまでも仮定だが)、その定期代は一ヶ月13,450円。昼食代が一日600円とすると20日で12,000円。定期代と昼食代を合計すると25,450円。手元に残るのは僅か14,500円だ。風邪気味だったので会社の近くの薬局で1,500円の風邪薬を買った、4,800円でちょっといいネクタイがあったから買った。帰りに寄ったデパートでやっていた「北海道フェア」で娘が好きなロイズのチョコポテトチップを二箱買った。すると残りは5,000円。全品280円均一の格安居酒屋に一回行ったらお終いだ。

 って、随分みみっちい事を書いたけれど、果たして小遣いに含まれるものと含まれないものが明確になっていなければ「サラリーマンの一ヶ月の小遣いが40,000円」って、何の意味もない数字なのである。小遣いに定期代や昼食代が含まれる家庭(世帯)も含まれない家庭もある。床屋代がその中に含まれる家庭も含まれない家庭もあるだろう。仕事関係の本代は別会計の家庭もあるだろう。月に一台までなら中古のカメラ(ただしライカを除く)を買ってもいい家庭もあるかも知れない(あったら羨ましい)。

 郷秋<Gauche>は統計による数字が面白おかしく取り沙汰されるたびに書いているのだが、事ほど然様に数字、取り分けアンケート結果の数字ほど当てにならないものは無いのである。


 例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、幾度もご覧頂いているすみよしの森の「トトロの切り通し」。週に一度は必ずこの切り通しを通るが、季節によって天候によって、その度に違った表情を見せてくれるから、楽しい。
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