雑草大好き

 郷秋<Gauche>は雑草が大好きである。幾種類かの雑草をわざわざ庭に植えたりしている。さすがに大葉子(おおばこ)や姫女苑(ひめじょおん)や春紫苑(はるじおん)をわざわざ植えたりはしないが、桃色昼咲き月見草は種を買ってきて蒔いた。

 ドクダミ、露草(つゆくさ)、母子草(ははこぐさ)、庭石菖(にわぜきしょう)、捩花(ねじばな)はひとりでに生えてきた。二輪草(にりんそう)は許しを得て頂いてきた。姫蔓蕎麦(ひめつるそば)、赤花夕化粧(あかばなゆうげしょう)、花韮(はなにら)、大甘菜(おおあまな)は道端に生えているものを採って来た。

 しかし、雑草と言われる草花の多くは名前が良く判らない。散歩に行く時にちょっと持って行けるコンパクトな図鑑はないかと探していたのだが、ようやく適当なものが見つかった。330種掲載されていると云うから、大概のものは知る事が出来るだろうか。

 先に我が家に生息する雑草(野草)を幾つかあげたが、実はそのほかにも欲しいものがある。例えば藪蘭(やぶらん)、芋片食(いもかたばみ)、勿忘草(わすれなぐさ)なんかも育ててみたい。春先に大犬の陰嚢(おおいぬのふぐり)の愛らしい花が一面に咲いたら素敵だとも思う。

 誰かが「名も無い野の草」と書いたのを見つけた、植物学者でもあった昭和天皇が「名の無い草は一つとしてない」と云ったと、何かで読んだ事がある。ニューギニアやアマゾンの奥地じゃあるまいし、日本の都会の道端で生息している草花は確かにすべて研究され尽くしているのだろう。

 時として帰化植物は悪者扱いされるけれど、日本の秋を代表する花と云われるほどのコスモスだって帰化植物である。帰化植物であっても郷秋<Gauche>は気に入ったものは道端から採って来て、種を買ってきて育ててみたい。雑草の花は小さく地味かも知れないが、良く見るとどれも個性的で美しいから。

 さて、「花と葉で見わける野草」を持って歩いて、幾種類の雑草を見つけ、どれ程の名前を覚える事が出来るだろうか。

『花と葉で見わける野草』
監修:近田文弘 写真:亀田龍吉 編著:有沢重雄
小学館
ISBN 978-4-09-208303-5
発行年月日 2010年4月10日
四六変/272頁
1,995円(税込)
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