東京の坂巻さんという方から、藤蔭静枝のことを調べているので、古いタイムス紙をコピーさせてほしいとの電話があった。事務所には、古いタイムスの号はあるにはあるが、段ボールに詰め込んであって、目的の号を取り出すことは不可能だ。ソフィアセンターでコピーするようアドバイスさせてもらった。
その坂巻さんが九日に柏崎にやってきた。仕事の関係で直江津に来る用があり、ソフィアセンターでタイムスをコピーされた後でお会いした。坂巻さんは定年後の楽しみとして、永井荷風の研究を続けているのだった。藤蔭静枝は永井荷風が唯一人、結婚した女性である。
新潟市生まれの静枝は、日本舞踊・藤蔭流の創始者として活躍し、戦時中は柏崎に疎開していた。そのために柏崎との縁も深い。聞けば、坂巻氏の母親は、静枝の弟子だったのだそうで、そんなこともあって、荷風の研究を始められたようだ。
定年とはいっても、まだ少し仕事はされているそうで、月に一度は直江津に来るという。多少の仕事をしながら、のんびりと永井荷風の研究をするなんて、大変羨ましいことだと思った。自分にもそんな日が来ることを願っている。
坂巻さんを、游文舎の「岩下コレクション展」にお連れして、岩下鼎さんに紹介したら、岩下さんのお姉さんも東京で藤蔭静枝の弟子だったのだという。思わぬ偶然に、私までびっくりしてしまった。
游文舎に置いてあったドナルド・キーン氏講演会のチラシを見た坂巻さんは、永井荷風の文章を高く評価したドナルド・キーン氏の講演を聞きに、来月十一日に、再び来柏されるという。日本文学をアメリカに紹介した人に与えられるドナルド・キーン賞を昨年受賞した、Jeffery Anglesという人と友達だという。再会が楽しみだ。
その坂巻さんが九日に柏崎にやってきた。仕事の関係で直江津に来る用があり、ソフィアセンターでタイムスをコピーされた後でお会いした。坂巻さんは定年後の楽しみとして、永井荷風の研究を続けているのだった。藤蔭静枝は永井荷風が唯一人、結婚した女性である。
新潟市生まれの静枝は、日本舞踊・藤蔭流の創始者として活躍し、戦時中は柏崎に疎開していた。そのために柏崎との縁も深い。聞けば、坂巻氏の母親は、静枝の弟子だったのだそうで、そんなこともあって、荷風の研究を始められたようだ。
定年とはいっても、まだ少し仕事はされているそうで、月に一度は直江津に来るという。多少の仕事をしながら、のんびりと永井荷風の研究をするなんて、大変羨ましいことだと思った。自分にもそんな日が来ることを願っている。
坂巻さんを、游文舎の「岩下コレクション展」にお連れして、岩下鼎さんに紹介したら、岩下さんのお姉さんも東京で藤蔭静枝の弟子だったのだという。思わぬ偶然に、私までびっくりしてしまった。
游文舎に置いてあったドナルド・キーン氏講演会のチラシを見た坂巻さんは、永井荷風の文章を高く評価したドナルド・キーン氏の講演を聞きに、来月十一日に、再び来柏されるという。日本文学をアメリカに紹介した人に与えられるドナルド・キーン賞を昨年受賞した、Jeffery Anglesという人と友達だという。再会が楽しみだ。
(越後タイムス8月13日「週末点描」より)