NHK大河ドラマ「天地人」が始まった。主人公は直江兼続ということだが、最近までその名前すら知らなかった。まったくの歴史音痴なので、大河ドラマに興味を覚えたこともなく、ほとんど見たこともない。「天地人」も見ないで通すだろう。
十五年も前のことだったろうか。与板町に勤務していた義父が、前立腺の手術で入院したことがあった。年をとると男性ならよくなる「前立腺肥大」という病気にかかって、尿道から管を入れて、肥大した前立腺を破壊するのである。
なんでそんなことをよく覚えているかというと、義父の退院後、見舞返しに届けられたお菓子の名前が「愛の前立」というものだったからだ。当然私らは「前立」を“ぜんりつ”と読むことになった。「愛のぜんりつ」という名のお菓子が存在することに、一同戦慄(せんりつ)を覚えたのだった。
何という“いやらしい”名前なんだろうと思った。しかし義父の説明で納得した。戦国時代に与板城主だったある武将が、兜の前につける前立(まえだて)に「愛」の文字を掲げていたことに由来する菓子の名前とのことであった。その武将こそが、直江兼続であったわけだ。
「天地人」の放映で、与板の「愛の前立」はよく売れているらしい。NHK大河ドラマの波及効果はとてつもなく大きいようだが、こんな一年限定のキャンペーンで一喜一憂していていいのだろうか。歴史というものはもっと奥の深いものと思うが、歴史音痴の私にそんなことを言う資格はない。
ところで、“愛”を掲げて戦争をするというのは矛盾している。どう考えても“愛”は“Love”ではない。先日新幹線に乗って「トラン・ヴェール」を見ていたら、“愛”は戦勝の神「愛宕権現」の“愛”から来ているという説があったので、納得できるものであると思った。
十五年も前のことだったろうか。与板町に勤務していた義父が、前立腺の手術で入院したことがあった。年をとると男性ならよくなる「前立腺肥大」という病気にかかって、尿道から管を入れて、肥大した前立腺を破壊するのである。
なんでそんなことをよく覚えているかというと、義父の退院後、見舞返しに届けられたお菓子の名前が「愛の前立」というものだったからだ。当然私らは「前立」を“ぜんりつ”と読むことになった。「愛のぜんりつ」という名のお菓子が存在することに、一同戦慄(せんりつ)を覚えたのだった。
何という“いやらしい”名前なんだろうと思った。しかし義父の説明で納得した。戦国時代に与板城主だったある武将が、兜の前につける前立(まえだて)に「愛」の文字を掲げていたことに由来する菓子の名前とのことであった。その武将こそが、直江兼続であったわけだ。
「天地人」の放映で、与板の「愛の前立」はよく売れているらしい。NHK大河ドラマの波及効果はとてつもなく大きいようだが、こんな一年限定のキャンペーンで一喜一憂していていいのだろうか。歴史というものはもっと奥の深いものと思うが、歴史音痴の私にそんなことを言う資格はない。
ところで、“愛”を掲げて戦争をするというのは矛盾している。どう考えても“愛”は“Love”ではない。先日新幹線に乗って「トラン・ヴェール」を見ていたら、“愛”は戦勝の神「愛宕権現」の“愛”から来ているという説があったので、納得できるものであると思った。
(越後タイムス1月23日「週末点描」より)