庭のモミジの木に黄緑色の美しい毛虫が大発生して葉を食い尽くしてしまった。この毛虫、イラガというやつで、刺されると大変痛いので触ってはいけない。上の方の葉を食い尽くすと、そいつらは幹を伝って下に降りてきて、股のところでUターンして新たな食糧を求めて登っていく。そんな姿を見ていて“貪欲なやつらだ”と思った。
貪欲といえば、イラガよりもアメリカシロヒトリがすごい。庭や公園で発生して、山野にはいないというが、今年は里山の木も多くやられている。ニセアカシアやネムの木、クルミなどが餌食になっていて痛ましい。
彼らは特にサクラが好物のようで、ソメイヨシノがいたるところでやられている。かなりの巨木が丸ごと葉を食い尽くされている姿を見ることもある。アメリカシロヒトリは“天幕”(幼虫の巣)というものをつくるので、木全体がクモの巣で覆われたような惨状となる。
まるでソメイヨシノの亡霊である。クモの巣状の天幕が幽霊のボロボロな衣裳のように見えて薄気味が悪い。ボロの間から幼虫が降ってきそうで悪寒が走る。イラガは葉を食うだけだが、アメリカシロヒトリは木全体を亡霊化するので、特に人間に嫌われるのだ。
アメリカシロヒトリのヒトリというのは、ひとりで行動するから付けられた名前ではもちろんない。漢字で書くと“火取り”。成虫は好んで火に群がる性質を持つ。春先に幼虫がよく道路を横断するヒトリガの仲間だ。
ところで、アメリカシロヒトリを略して“アメシロ”と言ったり、“アメヒト”と言ったりするが、“アメヒト”は不敬っぽいので“アメシロ”に統一したほうが良いと思う。
貪欲といえば、イラガよりもアメリカシロヒトリがすごい。庭や公園で発生して、山野にはいないというが、今年は里山の木も多くやられている。ニセアカシアやネムの木、クルミなどが餌食になっていて痛ましい。
彼らは特にサクラが好物のようで、ソメイヨシノがいたるところでやられている。かなりの巨木が丸ごと葉を食い尽くされている姿を見ることもある。アメリカシロヒトリは“天幕”(幼虫の巣)というものをつくるので、木全体がクモの巣で覆われたような惨状となる。
まるでソメイヨシノの亡霊である。クモの巣状の天幕が幽霊のボロボロな衣裳のように見えて薄気味が悪い。ボロの間から幼虫が降ってきそうで悪寒が走る。イラガは葉を食うだけだが、アメリカシロヒトリは木全体を亡霊化するので、特に人間に嫌われるのだ。
アメリカシロヒトリのヒトリというのは、ひとりで行動するから付けられた名前ではもちろんない。漢字で書くと“火取り”。成虫は好んで火に群がる性質を持つ。春先に幼虫がよく道路を横断するヒトリガの仲間だ。
ところで、アメリカシロヒトリを略して“アメシロ”と言ったり、“アメヒト”と言ったりするが、“アメヒト”は不敬っぽいので“アメシロ”に統一したほうが良いと思う。
(越後タイムス8月29日「週末点描」より)