玄文社主人の書斎

玄文社主人日々の雑感もしくは読後ノート

ゴーヤで省エネ

2007年07月15日 | 日記
 市の環境問題に対する取り組みがこのところ活発である。四日には、第一回環境審議会が開かれ、新しい市の環境基本計画策定作業に入った。六日には「エコアクション21普及セミナー」が開かれて、珍しい環境漫才というものを初めて見せてもらった。
 本年度の当初予算には、地球温暖化防止対策への取り組みに係る予算も計上され、これを会田市政のひとつの方向性と見ることができる。しかし、大量生産、大量消費、大量廃棄というライフスタイルが地球的規模で拡大している現状では、一自治体として何ができるのかに関して無力感がつのる。
 しかし、林家ライス・カレー子さんが言っていた「思いは地球規模、行動は足元から」というのは実に正論で、一人ひとりが小さなことから取り組んでいくしかないのだろう。「なるべく車に乗らない」「遠出の時は公共交通を使う」というのが、自分で普段心掛けていることだ。
 雨の日以外は自転車に乗ることにしているが、父のかたみの電動アシスト付きだ。本当は普通の自転車に乗りたいのだが、今のところ「もったいない」の気持ちからそれを捨てられないでいる。
 「事務所で冷房をつかわない」ということも実践しているが、三年前に壊れた冷房装置を買い替えるお金がないというのが実情である。
 市は今年も“小さな取り組み”として「緑のカーテン」を実施している。今年は市庁舎南側にアサガオだけでなく、ゴーヤも植えた。ゴーヤは葉の繁りもよく、直射日光遮断効果はアサガオ以上にあるだろう。
 それよりも、実がなったら食べられるというのが魅力である。すでにゴーヤは黄色い花をつけている。たくさんの実がぶら下がることだろう。市環境政策課では「実がなったら皆で食べましょう。持っていってもらってもかまいません」と言っている。

越後タイムス7月13日「週末点描」より)



北条出身の詩人

2007年07月08日 | 日記
 柏崎市北条出身の詩人・田川紀久雄さんという人を初めて知った。新潟の同じく詩人・鈴木良一さんの紹介である。田川さんは昭和十七年生まれだから正確に言えば、刈羽郡北条村の出身ということになる。三歳で北条村を離れ、現在は川崎で暮らしている。
 田川さんは出版社・漉林書房の代表で、自らの詩集をこれまでに二十冊出版し、“詩語り”ということをやっている。普通の朗読とは違う。三味線を弾き、自作の詩などを演劇的に“語る”のである。これまでに全国各地で詩語りのライブを行い、聴衆に圧倒的な感銘を与えてきた。
 田川さんから新詩集『見果てぬ夢』が送られてきた。そのあとがきに、自分が末期癌であとどれだけ生きられるか分からないことを告白している。『見果てぬ夢』は、死を前にした田川さんの“心の叫び”のようなものだ。
 「詩語りをもう一度行ないたい」では、「もう一度何処かで詩語りを行ないたい/その日があることを期待して/私は自分に負けないように生きていたい/お前はもうすぐ死ぬのだぞ/と言われても/はい、そうですかとは言いたくはない」と書いている。
 ふるさと柏崎での詩語りライブを実現させたいと思う。田川さんの詩集『越後』には、ずっと柏崎で生活している者には分からない、激しい望郷の思いが溢れている。ライブのDVDでは、そんな思いをより激しく表現していて、本当にぶっ倒されそうになる。
 今月二十三日には、出版記念ライブを東京六本木で行うが、案内には「田川紀久雄が急遽倒れた場合、坂井のぶこのみ」と書いてある。坂井さんは田川さんと一緒に詩語りをするパートナーである。
 坂井さんが宮沢賢治の「雨ニモマケズ」を、田川さんが同じく「永訣の朝」を同時進行で語るライブは、賢治の詩の世界のイメージを一変させ、聴衆を圧倒するという。
 田川さん、九月十六日に会場を準備して待っています。それまで斃れないで、柏崎の人たちに、あなたの迫力溢れる“詩語り”を聞かせてください。

越後タイムス7月6日「週末点描」より)



終わってしまいましたが

2007年07月02日 | 日記
 今週も美術ネタが多くなったが、学校町のギャラリー「十三代目長兵衛」で三十日まで開かれている「風の工房作品展」に絶対に注目してほしい。あと一日しかない。急いでほしい。長野県上田市の通所施設「風の工房」では、知的障害者のためのアート活動を行っていて、そこで活躍する春原(すのはら)喜美江さんと、宮下宜續さんのパステル画を中心に展示構成されている。
 上越市の画家が訪れて、「とてもかなわない」と舌を巻いた。元NHKの美術カメラマンが観て「すごいものを見せてもらった。プロの画家以上だ」と手放しで評価した。元美術教師は「まいったな」と言ったあと絶句した。それほどにすごい。構図がすごい。絵描きが最も苦労する構図の取り方を何の苦労もなく身に付けている。
 デフォルメがすごい。リアリズムを離れた現代の画家が、勉強して自分のものとしてきたデフォルメの技法を、ほとんど生得のものとしてごく自然に駆使している。プロの画家がうらやましくなるほどの技量である。
 とにかく「十三代目長兵衛」を訪れて、驚きの体験をしてみなければいけない。それは健常者として生まれてきた者のほとんど“義務”と言ってもよい。障害者に対する認識が変わるというか、ほとんど人生観が変わるほどの体験ができる。ギャラリー代表の曽田文子さんなどは朝から晩まで「まいったー、すごいわー」とうわごとを言っているほどである。
 指導者がいて、手とり足とり教えているのでは決してない。「風の工房」では、いたるところに写真集や画集を置いて、障害者に絵を描く“きっかけ”を与えているだけだという。本当だろうか。三十日には「風の工房」を立ち上げた関孝之さんのギャラリートークがある。どうしても関さんの話を聞いてみたい。そして、その話の内容を報告したいと思っている。

越後タイムス6月29日「週末点描」より)