判事ディード法の聖域の放送が終わって1週間、これまででしたら
まとめに頭を悩ましていたことです。懐かしく感じています。
デイリーメールで、ブレア元イギリス首相の夫人(バリスター・法廷弁護士)
がレコーダー(Recorder)すなわちパートタイム・ジャジとしてした
判決に関する記事が載っていました。
ディードのドラマを思い出しながら、ご紹介です。
レコーダーは一度ジョーもしたことがありました(真実の闇(Defence of the
Realm))。ディードがワーウィックに研修講師として派遣され、モラグと初めて
会い、ジョーはマイケルのことで脅迫され、自身もあわやビルから転落の危険
にあった回です。
もともとブレア夫人はジャッジを希望していたということでしたが、夫が首相を
辞めたので、いよいよ本格的に活動を始めたものと推測されます。
アイルワース(Ileworth)というグレイター・ロンドンの刑事法廷(Crown Court)
とのことです。ジョーの務めた裁判所も中心から少し外れていたようですので、
新人はそういうところからはじめるのかもしれません。
事件はコカインの密輸です。アメリカから「GIFT」として送られてきたもので、
税関ではそのまま通して、配達され、受領したところで、逮捕したようです。
現行犯逮捕です。日本でも同じようにするはずです。
ということで、陪審員も評決までに3時間もかからず共謀を認めたということです。
ただ、首謀者というのではなく、しかし、密輸グループのトップクラスに近い
存在ではないかが争われたようです。
陪審員が有罪の評決をしたので、今度はジャッジであるシェリーが量刑を決め
判決を言い渡したのですが、それが実刑ではなく12か月の猶予だったのです。
量刑理由は、拘留期間が240日あったことと長年のアルコール中毒で肝硬変
を患っていたこと、拘留期間中に心臓発作を起こしたことがあったことからなど
の健康状態を考慮したというものです。
ただ、このような事例の場合は、5年から9年の実刑が相場のようです。
ということで、検察側が控訴したのです。ドラマで馴染みのあのロンドンの
オールドベーリーです。
控訴審では3人の判事が「驚くべき、欠陥のある、不当に寛大」だとシュリーの
一審判決を痛烈に批判して、これを破棄し、3年半の実刑を言い渡したとのこと
です。
麻薬は日本でもそうですが、社会に与える影響が大きいので、結構重い判決に
なります。特にコカインはそうです。ここでも「public dimension」といわれています。
ただ、5年から9年が相場ながら、3年半というのは240日の拘留期間とか
健康状態が考慮されたものと思われます。
なお、このケースは法務長官(Attorny General)が控訴に持ち込んだようです。
顔が浮かんできます。
シャーリーは人権派弁護士といわれており、しゃきしゃきの労働党員であり、
夫のブレアより左寄り左派だといわれていますので、そういう感覚なのでしょうか。
ジョーを思い出しました。最後の方では名前ではなくあの「radical」グループの、
と揶揄的に言われていましたが、もういうセンスが続くと、たとえ元首相夫人でも
ジャッジとしてはどうかなということになるかも知れません。
こうして実際の裁判レポートに触れると、改めて判事ディードのドラマは現実に即した
極めて良質なドラマだったことがわかります。