皆様、遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
今年もこのブログをよろしくお願いいたします。
今回から少し、これまでの制度変更からの流れ等を、各地域の新聞記事から抜粋して、載せていこうと思ってます。何かお気付きがあれば「コメント」をお入れ下さい。早速今日は「東京新聞」からです。
[東京新聞 2006年12月20日]
■回顧2006年、自立支援法施行■
四月の障害者自立支援法施行で、障害者の暮らしは大きく変わった。負担増加でサービスの利用を手控える人、障害程度区分の決定でサービスが減らされた人、利用の手控えと報酬単価の減額で経営の悪化に苦しむ事業所-さまざまな問題が浮かんできた。
【佐橋大】
「どんどん生活が厳しくなった一年だった」。脳性まひで手足が不自由な愛知県岡崎市の橋爪裕二さん(50)は振り返った。
橋爪さんの月収は、障害年金と特別障害者手当の計約十万円。外出時に車いすを押してもらう移動支援と身体介護、家事援助のサービスを一日平均七時間受けている。
三月までは、所得が低いほど個人負担が減る仕組みだったので、無料でサービスを受けられたが、四月からは、原則、事業所への報酬の一割を障害者が負担しなければならなくなった。橋爪さんの所得は負担軽減策の対象に入ったので、毎月の負担は一割の半額程度の二万四千六百円に収まった。それでも、大幅な負担増だ。さらに、十月からは移動支援の費用が、別枠で徴収されることになった。この費用を合計し、十月は約四万円を請求された。
働けないので、負担増を補う手だてはない。身体介護や家事援助は生きるために必要なサービスなので減らせない。「外出を我慢し何とかやっている」と話す。趣味の映画には四月以降、ほとんど行けず、十月からは買い物を週二回から一回に減らした。十一月は理髪店にも行けなかった。
「私は、親類と同居していて、光熱費や家賃がかからないので、まだまし。一人暮らしの人はもっと大変だろう。障害者が自由に一人暮らしできる社会、安心して外出できる生活にもう一度してほしい」と訴える。
負担の増加に苦しむのは橋爪さんだけではない。さいたま市が在宅の障害者を対象に九-十月に行った調査では、四月以降、61・1%の人でサービス利用の負担が増えた。過半数が家計への影響が大きいと答え、「生活できない」と答えた人も7・2%いた。サービスの利用を減らした人はいても、増やした人はほとんどいなかった。
支出が増えれば、収入を増やして何とかしたいというのが自然な流れ。しかし、障害者が働いて、収入を得る環境は厳しくなった。障害が理由で一般企業で働けない人に働く場を提供する授産施設へも四月から一割負担のルールが適用され、昼食も実費を徴収するようになったからだ。
東京都の調査によると、通所型授産施設の利用者負担は、三月の平均千八百八十八円から、四月には約九倍の一万七千百五十二円になった。授産施設の賃金は月一万-二万円前後が一般的。働いて、得られる収入以上に施設利用料を払わなければならない事態があちこちで起きている。
施設の利用控えが広がり、通所施設では収入が減少、経営状態が悪化した。報酬の計算法が変わり、実際に通った日数分の報酬しか施設に払われなくなったためだ。
東京都の調査では、通所施設の四月の収入は、前年同月比15・2%減。収入減で職員の人件費をカットする施設が相次いだ。福祉・保育関係の職員が加盟する全国福祉保育労働組合の調査では、48%の職場で職員の賃金が減らされていた。
影響は、通所施設以外にも。ヘルパーを派遣する事業所では、報酬単価の引き下げで採算が悪化している。ある身体障害の男性(33)は「ヘルパーの時給を減らさざるをえず、ヘルパーの確保に苦労している事業所もあると聞く。このままでは、障害者の福祉を担う人が減ってしまうのでは」と心配する。
高まる不満に対応するため、自民、公明両党は、二〇〇六-〇八年度の予算に千二百億円を計上し、障害者の負担軽減の拡充や収入が落ち込んだ通所施設を救済することなどに充てるよう政府に申し入れた。その結果、政府がどんな具体策を打ち出すか-障害者は注意深く見守っている。
今年もこのブログをよろしくお願いいたします。
今回から少し、これまでの制度変更からの流れ等を、各地域の新聞記事から抜粋して、載せていこうと思ってます。何かお気付きがあれば「コメント」をお入れ下さい。早速今日は「東京新聞」からです。
[東京新聞 2006年12月20日]
■回顧2006年、自立支援法施行■
四月の障害者自立支援法施行で、障害者の暮らしは大きく変わった。負担増加でサービスの利用を手控える人、障害程度区分の決定でサービスが減らされた人、利用の手控えと報酬単価の減額で経営の悪化に苦しむ事業所-さまざまな問題が浮かんできた。
【佐橋大】
「どんどん生活が厳しくなった一年だった」。脳性まひで手足が不自由な愛知県岡崎市の橋爪裕二さん(50)は振り返った。
橋爪さんの月収は、障害年金と特別障害者手当の計約十万円。外出時に車いすを押してもらう移動支援と身体介護、家事援助のサービスを一日平均七時間受けている。
三月までは、所得が低いほど個人負担が減る仕組みだったので、無料でサービスを受けられたが、四月からは、原則、事業所への報酬の一割を障害者が負担しなければならなくなった。橋爪さんの所得は負担軽減策の対象に入ったので、毎月の負担は一割の半額程度の二万四千六百円に収まった。それでも、大幅な負担増だ。さらに、十月からは移動支援の費用が、別枠で徴収されることになった。この費用を合計し、十月は約四万円を請求された。
働けないので、負担増を補う手だてはない。身体介護や家事援助は生きるために必要なサービスなので減らせない。「外出を我慢し何とかやっている」と話す。趣味の映画には四月以降、ほとんど行けず、十月からは買い物を週二回から一回に減らした。十一月は理髪店にも行けなかった。
「私は、親類と同居していて、光熱費や家賃がかからないので、まだまし。一人暮らしの人はもっと大変だろう。障害者が自由に一人暮らしできる社会、安心して外出できる生活にもう一度してほしい」と訴える。
負担の増加に苦しむのは橋爪さんだけではない。さいたま市が在宅の障害者を対象に九-十月に行った調査では、四月以降、61・1%の人でサービス利用の負担が増えた。過半数が家計への影響が大きいと答え、「生活できない」と答えた人も7・2%いた。サービスの利用を減らした人はいても、増やした人はほとんどいなかった。
支出が増えれば、収入を増やして何とかしたいというのが自然な流れ。しかし、障害者が働いて、収入を得る環境は厳しくなった。障害が理由で一般企業で働けない人に働く場を提供する授産施設へも四月から一割負担のルールが適用され、昼食も実費を徴収するようになったからだ。
東京都の調査によると、通所型授産施設の利用者負担は、三月の平均千八百八十八円から、四月には約九倍の一万七千百五十二円になった。授産施設の賃金は月一万-二万円前後が一般的。働いて、得られる収入以上に施設利用料を払わなければならない事態があちこちで起きている。
施設の利用控えが広がり、通所施設では収入が減少、経営状態が悪化した。報酬の計算法が変わり、実際に通った日数分の報酬しか施設に払われなくなったためだ。
東京都の調査では、通所施設の四月の収入は、前年同月比15・2%減。収入減で職員の人件費をカットする施設が相次いだ。福祉・保育関係の職員が加盟する全国福祉保育労働組合の調査では、48%の職場で職員の賃金が減らされていた。
影響は、通所施設以外にも。ヘルパーを派遣する事業所では、報酬単価の引き下げで採算が悪化している。ある身体障害の男性(33)は「ヘルパーの時給を減らさざるをえず、ヘルパーの確保に苦労している事業所もあると聞く。このままでは、障害者の福祉を担う人が減ってしまうのでは」と心配する。
高まる不満に対応するため、自民、公明両党は、二〇〇六-〇八年度の予算に千二百億円を計上し、障害者の負担軽減の拡充や収入が落ち込んだ通所施設を救済することなどに充てるよう政府に申し入れた。その結果、政府がどんな具体策を打ち出すか-障害者は注意深く見守っている。