ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

中国新聞より

2007年01月14日 01時34分42秒 | 障害者の自立
救済策も所詮は参院選の人気取り終わりような気がします。


改革のひずみ 是正図れ '07展望 社会保障 '07/1/8

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 歳出の20%を超え、増え続ける社会保障費の抑制は大きな課題だ。ただ、財政主導による改革で国の支出は減っても、障害者らに急激な負担増をもたらすだけでは本末転倒だ。

 小泉前政権で昨年矢継ぎ早に行われた介護保険の見直し、障害者自立支援法の施行、医療制度改革…。障害者らの負担増に伴うひずみも出てきており、安倍政権に是正が迫られている。夏の参院選に向けた一時しのぎの緩和策ではなく、医療、介護、年金の社会保障の全体像を見直した上で、総合的な改革ビジョンをあらためて提示するべきだろう。

 「支援法」手直し

 二〇〇七年度の政府予算案には、障害者自立支援法の円滑実施を図るため、〇八年度までの特別対策として障害者の負担軽減策や、福祉作業所のような事業者への激変緩和措置など千二百億円が盛り込まれた。

 原則一割の「応益負担」を導入した自立支援法が昨年四月にスタート。作業所に通う障害者は施設利用料、食費、送迎バス代などが自己負担となった。負担増は月に平均三万円近くにも上る。「これでは障害者の自立支援の趣旨に逆行する」という、障害者や家族らの悲痛な声が全国で相次いだ。二年間の限定付きの特別対策は、こうした批判が強まったことから、「改革」の実質的な修正を余儀なくされた形である。

 背景には、企業などで障害者雇用が進んでいない現実がある。何とか働いて自立したいと、作業所に通い障害者が得る工賃はせいぜい月に一万円程度。重度の障害があれば、食事の介助など福祉サービスを受けなければ日常生活はできない。サービスを受ける障害者に負担を課すこと自体に無理がある。地域での自立を促すには、所得保障と連動した抜本策が必要だ。

 参院選を意識か

 医療費の抑制をめざし、昨年十月から始まった医療制度改革にも、同じような問題がある。現役並みの所得がある高齢者は、医療費の窓口負担が二割から三割に引き上げられた。〇八年度からは七十五歳以上の新しい医療保険もスタートする。減税廃止などで年金が目減りする中、負担に耐えきれるのだろうか。

 難病対策でも、対象患者が五万人を超えたかいよう性大腸炎とパーキンソン病を、難病(特定疾患)から外す方針が検討されたが、昨年末に急きょ見送りになった。病気が治らないから患者数は増える。患者が多いのを理由に医療費の公的負担を打ち切られたのではたまらない。患者らの反発は当然だ。自民・公明の与党が是正を求める決議をして申し入れ、厚生労働省の方針が撤回された。参院選を意識した動きとも受け取れる。こうした措置が当面は一年限りというのもそれを裏付けている。

 最も気になるのは、療養病床三十八万床を一一年までに十五万床に削減する再編である。高齢者の「社会的入院」を減らすのが目的だが、介護側の事情にも配慮しなければ、行き場を失った「難民」を生むことにもなりかねない。受け皿となる介護施設など、準備を進めながら慎重に進めることが不可欠だ。

 全体へ目配りを

 介護保険の改定では、「要支援」など要介護度の軽い高齢者に、ヘルパー派遣を削減する代わりに、昨年六月から筋肉トレーニングで進行を遅らせる手法が進められてきた。

 予防的な視点は大切だが「面倒な運動をするぐらいなら」と通所介護を敬遠する人も少なくない。運動機能向上サービスを提供する業者の届け出も、昨年末で半数止まり。最高66%、最低は31%で、二倍以上の地域差が出た。一律に筋トレをするより、地域によっては散歩や買い物をしやすくする歩道整備などの方が、効果的な場合もあるのではないか。

 無駄な支出を抑える改革は必要だが小泉前政権では経済界の意向が強く反映され、社会保障費すべてを削減する「ごり押し」の色彩が濃かった。一方で削減しても別の部分で補完する柔構造があれば安心できる。何より総合的な目配りを望みたい。