Ⅰ 相談支援
【基本的考え方】
○ 障害者が地域で安心して自立生活を送っていくためには、障害者が日々の暮らしの中で抱えているニーズや課題にきめ細かく対応し、必要に応じて適切な障害福祉サービス等に結びつけていくための相談支援が重要である。
○ しかしながら、障害者の相談支援については、市町村等によって取組状況に差があるという指摘があるとともに、ケアマネジメントを行うために障害者自立支援法で導入されたサービス利用計画作成費については、平成20年4月現在で利用者が1,919人に過ぎないなど、相談支援が十分に行われていない状況がある。
○ このため、障害者が、様々なサービスや地域資源等も活用しながら、地域で自立して安心して暮らしていけるよう、以下の観点から障害者の相談支援の充実を図るべきである。
① 地域における相談支援体制の強化
② ケアマネジメントの充実
③ 自立支援協議会の充実
(1)地域における相談支援体制
(地域における相談支援体制の強化)
○ 障害者の地域生活にとって相談支援は欠かせないものである一方、市町村ごとに取組状況に差があり、地域における相談支援体制について、相談支援の充実や地域生活支援事業費補助金の活用を促すなどにより、全国それぞれの市町村において、必要に応じ都道府県の支援を受けながら、十分な相談支援の事業が実施されるよう、強化を図っていくべきである。
(相談支援を担う人材の質の向上)
○ また、市町村のケースワーカーや相談支援事業者の相談支援専門員等、相談支援を担う人材について、研修事業の充実を図るなど、質の向上を図っていくべきである。
○ あわせて、障害者や家族が有している様々な経験・体験や情報を活かし、障害者同士や家族同士によるピアサポート、身体障害者相談員・知的障害者相談員による相談援助を活用することにより、厚みのある相談支援を実施していくべきである。
(総合的な相談支援を行う体制)
○ 地域における相談支援体制の整備を図るとともに、質の向上を図っていくために、拠点的な機関を設置するなど、総合的な相談支援体制を充実させていくべきである。
○ 例えば、市町村が、①一般的な相談支援のほか、障害者入所施設や精神科病院からの地域移行の相談、家族との同居から地域生活への移行の相談、地域生活における24時間の相談、権利擁護など、多様な相談支援や、②住民に身近な相談支援事業者に寄せられた相談を、他のより適した相談支援事業者につなぐ相談支援についての調整などを行う相談支援の拠点的な機関を設置することとすべきである。
○ その際、①市町村の直営か委託か、②全障害か三障害別かなど対象者の範囲、③設置数や他の市町村との共同設置、などについて、個々の市町村の実情が異なることに配慮し、地域の実情に応じて柔軟に設置できるようにすべきである。
○ あわせて、相談支援の拠点的な機関の設置のみならず、住民に身近な場における相談支援を充実・活性化させていくことも重要である。
○ こうした相談支援の拠点的な機関や、住民に身近な相談支援事業者など、地域における相談支援体制を有効に機能させていくとともに、医療を含む多様な相談支援に対応できるようにしていくためには、(3)で述べる自立支援協議会を活用し、連携を図っていくことが重要と考えられる。
○ さらに、地域における相談支援体制の充実を図っていくためには、都道府県の役割も重要である。障害者自立支援法の実施主体は市町村であり、相談支援についても第一義的には市町村における体制整備が必要となるが、都道府県は、特に町村部における体制整備について必要な支援を行ったり、広域的な調整を行ったり、引き続き、発達障害者支援センターや精神保健福祉センター等において専門的な相談支援を実施したりすることにより、その役割を果たしていく
べきである。