障害者団体向けの「低料第3種郵便物」制度が悪用され、大量のダイレクトメール(DM)広告が格安で郵送されていた問題で、07年度から今年10月末までの1年7カ月間に、この制度を利用して出された約1億8800万通のうち約8割の約1億4800万通が悪用だったことが分かった。正規料金との差額は少なくても約49億円にのぼる。郵便事業会社(JP日本郵便)が24日公表した。
これまでの朝日新聞の取材では、大手印刷・通販会社「ウイルコ」(石川県・東証2部)や他数社が04年以降に制度を悪用し始めたことを認めているが、日本郵便は06年度以前の利用分についても調査するとしている。悪用が判明した障害者団体と企業などには差額分を請求する方針。損害賠償訴訟や刑事告訴も検討するという。
日本郵便によると、07年度以降、217件の刊行物について、合計で1億8815万通が発送された。このうち、17件が「不適正な利用だった」という。いずれも制度を利用するために必要な条件の「発行部数の8割以上が有償購読者」という条件を満たしておらず、実質的にはDM広告での利用だった。大半は年間発送件数が100万通を超え、17件だけで1億4834万通に達するなど、通常の障害者団体利用ではありえない数だった。
日本郵便は、17件の定期刊行物のうち11件の承認を取り消したが、残り6件は自ら廃刊届を出したという。
日本郵便は、悪用が広がった原因について「3千通以上の差し出しがあり、利用状況に不審な点があった場合は郵便局から各支社へ報告するルールを設けていたが、的確に運用できていなかった」などと分析。今後は、制度を利用して発送される郵便物の数量を各支社などで横断的に把握できるよう、増減をチェックするシステムを導入するなどして再発防止に努めるという。
〈低料第3種郵便問題〉障害者団体の定期刊行物を団体の支援者など特定の購読者に格安で郵送することを認めているのが、低料第3種郵便物制度。これを一部の大企業などが自社の顧客に格安で大量のDM広告を送る手法として悪用していたことが朝日新聞の取材で次々に判明した。封書の郵送料は通常1通80円が最も安いが、制度を使えば8円に下がる。差額は障害者団体と企業側が不正に免れていたことになる。
福祉事業のため赤字で、その分は一般の郵便利用者が広く負担する形で存続しているが、04年以降、郵便物の全体数が減るなかで、低料第3種の取扱件数は急増。日本郵政も調査に乗り出していた。
これまでの朝日新聞の取材では、大手印刷・通販会社「ウイルコ」(石川県・東証2部)や他数社が04年以降に制度を悪用し始めたことを認めているが、日本郵便は06年度以前の利用分についても調査するとしている。悪用が判明した障害者団体と企業などには差額分を請求する方針。損害賠償訴訟や刑事告訴も検討するという。
日本郵便によると、07年度以降、217件の刊行物について、合計で1億8815万通が発送された。このうち、17件が「不適正な利用だった」という。いずれも制度を利用するために必要な条件の「発行部数の8割以上が有償購読者」という条件を満たしておらず、実質的にはDM広告での利用だった。大半は年間発送件数が100万通を超え、17件だけで1億4834万通に達するなど、通常の障害者団体利用ではありえない数だった。
日本郵便は、17件の定期刊行物のうち11件の承認を取り消したが、残り6件は自ら廃刊届を出したという。
日本郵便は、悪用が広がった原因について「3千通以上の差し出しがあり、利用状況に不審な点があった場合は郵便局から各支社へ報告するルールを設けていたが、的確に運用できていなかった」などと分析。今後は、制度を利用して発送される郵便物の数量を各支社などで横断的に把握できるよう、増減をチェックするシステムを導入するなどして再発防止に努めるという。
〈低料第3種郵便問題〉障害者団体の定期刊行物を団体の支援者など特定の購読者に格安で郵送することを認めているのが、低料第3種郵便物制度。これを一部の大企業などが自社の顧客に格安で大量のDM広告を送る手法として悪用していたことが朝日新聞の取材で次々に判明した。封書の郵送料は通常1通80円が最も安いが、制度を使えば8円に下がる。差額は障害者団体と企業側が不正に免れていたことになる。
福祉事業のため赤字で、その分は一般の郵便利用者が広く負担する形で存続しているが、04年以降、郵便物の全体数が減るなかで、低料第3種の取扱件数は急増。日本郵政も調査に乗り出していた。