◇臨時災害局で再開検討
8月31日で閉鎖する郡山市の避難所「ビッグパレットふくしま」の館内限定ミニFM局「おだがいさまFM」が30日、閉局した。免許なしの放送のため電波の強さが限られ、館内でしか聞けないが、仮設住宅に移った人たちも放送時間に合わせて来館し、「ラジオをなくさないで」という声が相次いでいる。FM局を運営する富岡町の社会福祉協議会は、より出力の大きい臨時災害放送局として再開させる方向で検討を始めた。【椋田佳代】
このFM局は、視覚障害者や高齢者に避難生活に必要な情報を音声で伝えようと、県職員の天野和彦さん(52)の提案で、富岡町と川内村の社会福祉協議会で作るボランティアセンターが5月に館内の入り口脇に開設した。放送は平日午後7時から2時間。スタジオは段ボールで手作りし、地元のエフエム福島のスタッフらがボランティアでパーソナリティーを務める。
一時帰宅や仮設住宅の申請などの行政情報を提供するほか、リクエスト箱を設けてAKB48から石川さゆりまで幅広い音楽を流す。
被災者がゲスト出演するなど、慣れない避難生活に戸惑う住民に寄り添い、スタジオは交流の場となってきた。
避難所ではピーク時、両町村などの約2500人が暮らした。現在は多くの人が仮設住宅などに引っ越したが、「家でも聞こえるようにして」「夜にラジオが聞けなくて寂しい」などの意見がFM局のスタッフに届くようになった。
臨時災害放送局は、被災した地方公共団体の申請を受け総務省東北総合通信局が免許を与える。東日本大震災後には東北地方の21市町が開設したが、同省の通達は自治体の所在地での放送を想定。福島第1原発事故の影響で役場機能を郡山市に移した富岡町のようなケースは前例がないという。同通信局は「詳しい内容を聞いて判断したい」としており、許可が下りるかは未定だ。
FM局の設立から関わる富岡町社会福祉協議会の吉田恵子さんは「家に帰りたくても原発事故の影響で帰れない人が、ラジオで地元の情報を共有している。顔の見える場所でラジオを続けたい」と訴える。
同町から避難し、郡山市の仮設住宅で暮らす横田一也さん(63)は「いろいろ大変だけどラジオに励まされた。これからも続けてほしい」と話した。
毎日新聞 2011年8月31日 地方版
8月31日で閉鎖する郡山市の避難所「ビッグパレットふくしま」の館内限定ミニFM局「おだがいさまFM」が30日、閉局した。免許なしの放送のため電波の強さが限られ、館内でしか聞けないが、仮設住宅に移った人たちも放送時間に合わせて来館し、「ラジオをなくさないで」という声が相次いでいる。FM局を運営する富岡町の社会福祉協議会は、より出力の大きい臨時災害放送局として再開させる方向で検討を始めた。【椋田佳代】
このFM局は、視覚障害者や高齢者に避難生活に必要な情報を音声で伝えようと、県職員の天野和彦さん(52)の提案で、富岡町と川内村の社会福祉協議会で作るボランティアセンターが5月に館内の入り口脇に開設した。放送は平日午後7時から2時間。スタジオは段ボールで手作りし、地元のエフエム福島のスタッフらがボランティアでパーソナリティーを務める。
一時帰宅や仮設住宅の申請などの行政情報を提供するほか、リクエスト箱を設けてAKB48から石川さゆりまで幅広い音楽を流す。
被災者がゲスト出演するなど、慣れない避難生活に戸惑う住民に寄り添い、スタジオは交流の場となってきた。
避難所ではピーク時、両町村などの約2500人が暮らした。現在は多くの人が仮設住宅などに引っ越したが、「家でも聞こえるようにして」「夜にラジオが聞けなくて寂しい」などの意見がFM局のスタッフに届くようになった。
臨時災害放送局は、被災した地方公共団体の申請を受け総務省東北総合通信局が免許を与える。東日本大震災後には東北地方の21市町が開設したが、同省の通達は自治体の所在地での放送を想定。福島第1原発事故の影響で役場機能を郡山市に移した富岡町のようなケースは前例がないという。同通信局は「詳しい内容を聞いて判断したい」としており、許可が下りるかは未定だ。
FM局の設立から関わる富岡町社会福祉協議会の吉田恵子さんは「家に帰りたくても原発事故の影響で帰れない人が、ラジオで地元の情報を共有している。顔の見える場所でラジオを続けたい」と訴える。
同町から避難し、郡山市の仮設住宅で暮らす横田一也さん(63)は「いろいろ大変だけどラジオに励まされた。これからも続けてほしい」と話した。
毎日新聞 2011年8月31日 地方版