聴覚障害者を対象とした成人式「手話で祝うはたちの集い」が2日、松本市の社会教育複合施設「なんなんひろば」で行われた。県内各地から振り袖やスーツなどに身を包んだ若者10人が参加し、家族や恩師らとともに新たな門出を祝った。
式は、一般的な成人式が地域ごとに行われ、広域から集まる特別支援学校の卒業生にとっては知り合いが少ないなど、参加しにくい状況もあるために企画されたもの。同市聴覚障害者協会の主催で2015年から隔年実施され、今回が3回目。3月3日の「耳の日」にちなみ、毎回3月上旬に開催されている。
今年は、県出身か在住の1997年4月~99年3月生まれが対象。各地から集まった「新成人」は、手話を用いて誓いの言葉を述べたり、クイズを行ったりして、親交を深めた。あいさつに立った県聴覚障害者協会の井出万成理事長(72)は「音声の情報があふれる社会で必要な情報を選びとり、自分らしく生きてほしい。声をあげなければ社会は変わらない。ろう者として頑張ってください」と激励した。
実行委員兼司会を務めた諏訪市の青木良仁さん(20)は「今まで温かく見守ってくれた家族や友人、先生に感謝している。これからも障害に負けずたくましく生きていくので、見ていてほしい」と、決意を新たにしていた。