猫じじいのブログ

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着地点のない日韓経済戦争、安倍晋三の国際政治音痴

2019-08-07 23:44:58 | 日韓関係


安倍晋三首相は8月6日、広島市での記者会見で、役人や元役人にとって言って欲しくない本当のことを言ってしまった。

安倍は元徴用工問題を念頭に「現在の日韓関係の最大の問題は、国家間の約束を守るのかどうか、という信頼の問題だ。日韓請求権協定に違反する行為を韓国が一方的に行い、国交正常化の基礎となった国際条約を破っている」と韓国政府を批判し、「約束を守らない限り、ムン・ジェイン大統領と会談しない」と言った。

「国家間の約束」とは、1965年の日韓請求権協定のことをいっている。この協定は、韓国政府が、韓国併合時に起きたことに対する日本政府への損害賠償請求権を放棄するという協定である。

韓国を植民地化していた日本が敗戦し、独立した韓国と敗戦した日本が国交を開くのであるから、韓国が損害賠償権を放棄する必要はなかった。

それなのに、このような協定を結んだ理由は、1965年の韓国の経済も政治も悲惨な状況であったからだ。韓国の安定化を望んだアメリカは、軍事政権下の韓国政府と、安倍晋三の叔父佐藤栄作を首相とする日本政府の間に急いで、国交を正常化するよう圧力をかけた。当時の韓国と日本の力の差を反映した協定となった。

この辺の裏事情は安江伸夫の『今さら聞けない「日韓関係」…対立の構造と背景にある歴史』(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/63796)に詳しい。

日本の役人も韓国の役人も恐れるのは、この不平等条約そのものの正当性が韓国民の間で議論されることである。韓国では、当時の外交文書が公開されているから、知っている人は知っているわけだ。

したがって、政府間の請求権は放棄されたが、民間同士の請求は裁判で決着つけるのが望ましいと、役人は考える。

裁判に負けた企業が元徴用工に賠償金を払えば、協定そのものが問題とされない。

しかし、安倍晋三は、大叔父の佐藤栄作のやったことはすべて正しいという、身内ヨイショの男である。安倍は、ムン・ジェイン大統領を困らすために、役人に求め、経済戦争を始めてしまった。

安倍晋三は、この落とし前を、どうつけるつもりなのか。外交音痴の暴走は両国民を苦しめるだけだ。しかも、アメリカは、1965年のような調停の力がない。トランプ大統領は、日本と韓国に貢物の額を競わせるだけで、より、国際政治を混迷させるだけだ。