猫じじいのブログ

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悪いのは安倍晋三であって、ムン・ジェインではない、GSOMIA

2019-08-23 23:09:04 | 日韓関係


このところ、日韓問題のこじれは、韓国のムン・ジェイン大統領が悪いという本末転倒の論調一色に、日本のメディアは流されている。
きょう、びっくりしたことに、GSOMIAに関して、テレビ朝日の『大下容子ワイド!スクランブル』で、ムン・ジェイン政権が軍事クーデターで倒れれば良いという発言まで飛び出した。

メディアは、もともと、このこじれは、安倍晋三に原因があることを忘れている。
また、韓国の抱える本当の問題にも気づいていていない。

韓国人の抱える本当の問題は、いまだに、北朝鮮との戦争が終わっていないことである。1953年7月23日に休戦協定を結んだだけで、もう66年たつのに、両国は平和条約締結にいたっていない。私は、外資系にいたので、韓国人と話す機会が結構あったが、韓国人の最大の関心事は、戦争を終わらすことである。

韓国人にとってのもう1つの問題は、現在の自由と民主主義を軍のクーデターから守ることである。韓国と北朝鮮との戦争は、アメリカと中国との代理戦争であった。すなわち、アメリカにとって、韓国軍人こそ真の味方なのだ。当然、軍人が大事にされる。1961年5月21日のクーデターで軍事独裁が韓国で始まった。軍人以外が初めて大統領になったのは1992年である。

安倍晋三が、韓国が賠償請求権を放棄したと言うのは、1965年の日韓基本条約のことである。韓国は、戦後、日本と平和条約を結んでいなかった。1965年まで、日本と韓国の戦争状態が続いていたのである。アメリカは、韓国の経済を復興させ、韓国の政治を安定化させるため、韓国と日本の両方に条約を結ぶよう圧力をかけた。

この日韓基本条約を結んだ日本の首相が安倍の大叔父の佐藤栄作で、韓国大統領が朴正煕である。

日韓基本条約は日本側優位のまま結ばれた条約であるから、韓国人の一部にとって不満が残るのはやむをえない。しかし、1992年に文民政府になってからも、ムン・ジェイン政権を含め、日韓基本条約そのものを今のところを否定していない。起きていることは、あくまで、民間レベルの運動であったり、日本の企業への訴訟であったりであって、政府レベルの争いにしなかった。

なぜ政府間の争いに韓国が持ち込まなかったのか。それは、韓国は、自由と民主化に、日本の恩を感じていたからである。韓国民主化の闘士、金大中は1973年に滞在中の日本で韓国中央情報部に拉致され、韓国に送還された。このとき、日本政府が、金大中が殺害されないよう、海上保安庁を動員して、守ったからである。金大中は1998年に韓国の大統領になる。ムン・ジェインは金大中の部下である。

韓国の文民政府にとっては、軍人独裁より、自由と民主主義の日本政府のほうが好きなのである。ムン・ジェイン政権で、日韓関係は良くなるはずだったのである。最大の関心事は、北朝鮮と韓国の戦争を終結し、平和条約を結ぶことであったのだ。

それなのに、安倍政権は、慰安婦像がけしからんと言ったり、元徴用工問題の韓国での判決を撤回せよといったり、韓国への内政干渉を行っている。韓国政府を日本政府の言いなりになるものだと安倍晋三は考えている。

安倍晋三は、不平等な1965年日韓基本条約に触れないで済ましてきた韓国政府の立場をぶち壊している。

慰安婦像を日本大使館の前に建てても別に実害はない。元徴用工問題は裁判の中で争うことで、韓国の最高裁で判決がでたのだから、日本企業は賠償金を払えば良い。

日本政府がこのことで韓国政府に命令できる権利はない。不満を言うだけでいいのだ。

ところが、安倍晋三は、この7月、世耕経産相に輸出規制という経済制裁をさせた。安倍晋三は、米国との外交、ロシアとの外交など、失敗続きである。外交の失敗から国民の目をそらすために、安倍は韓国叩きに走っているだけだ。

メディアは安倍晋三をきちんと叩かないといけない。安倍は、これまでの、韓国と日本との良好な関係を壊している。