猫じじいのブログ

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けさのモーリーン・ダウドのコラム『古ぼけたジョーの…』が面白い

2021-04-16 22:51:56 | 社会時評

けさの朝日新聞の⦅コラムニストの眼⦆が面白い。ピューリッツァー賞を受賞している67歳のコラムニスト、モーリーン・ダウド(Maureen Dowd)の『オバマ政権への皮肉 「古ぼけた」ジョーの進歩性』が面白い。3月20日のニュヨークタイムズのコラム“Old Pol, New Tricks/ Biden’s got the buzz. Who’s smirking now?”の翻訳である。

“pol”は政治家(politician)の蔑称である。“old”をつけることで、「憎めないおいぼれの」というニュアンスがつく。日本社会と違い、アメリカ社会では老人は権威をもたない。老人は、哀れな生き物だが、みんなにとって何か懐かしい存在なのだ。

“New Tricks” の意味が 私には わからなかったが、BBC Oneの有名な刑事もの番組のタイトルなのだそうだ。ウィキペデイアを見ると、「ロンドン警視庁の女性警視サンドラは、未解決事件捜査専門の新設部署ユーコス(UCOS)を率いることになる。チームメンバーは皆退職した元刑事。個性的なメンバーがそれぞれの持ち味を生かし、次々と難事件を解決していく」とある。

日本では、CS衛星放送AXNミステリーで、『ニュー・トリックス~退職デカの事件簿~』のタイトルで放映されている。 

さらに、“You can't teach an old dog new tricks”と言う諺がもともとあり、これは「もう歳だから新しい芸を教えるのは無理じゃない?」という意味だ。

したがって、このコラムのタイトル“Old Pol, New Tricks”は「老いぼれ政治屋 やるんじゃない」という意味だ。まあ、かなりキツイ言い方だが。

モーリーン・ダウドによると、老練な政治家といわれていたジョー・バイデンは、オバマ政権の時代、副大統領であったのにもかかわらず、オバマ大統領の側近にバカにされ、仕事の場が与えられなかった。

《(バイデン氏は)ちょっとまぬけでおしゃべりだった。時代遅れで、要はさえない人物だったのだ。》

《オバマ大統領が同性婚への支持を決めかねていたのに、バイデン氏が討論番組でうっかり支持を表明してしまい、オバマ氏の側近が激怒した。彼らは匿名で記者たちに対してバイデン氏を酷評し、会議から締め出し、一部の国内メディアへの出演を禁じた。》

ところが、急進的な政策を行うと期待されたオバマは、大統領になったら、控えめなことしかしなかった。そして、何もできない、何もしないと思われて大統領になったバイデンが、いま、急進的な政策をかかげ、それを実行しているんじゃないか、というのが、このコラムの趣旨である。

《古ぼけて時代遅れのバイデン氏は、素早く動き、さまざまな問題を打破した。洗練され、現代的なオバマ氏が議事を妨害する共和党と協力しようとし続けたのとは違い、バイデン氏は「たやすい選択だ」と言って、彼らを追い払った。》

さて、BBCの刑事もの番組からすると、この「老いぼれ政治屋(犬)」を率いて活躍する女性がいることになる。だれのことだろう。

[補遺]
朝日新聞の翻訳は、モーリーン・ダウドの原文をかなり飛ばして、短くしているので、アメリカ政治のどぎつさが伝わらなくなっている。原文はニューヨクタイムズのサイトで無料で読める。