猫じじいのブログ

子どもたちや若者や弱者のために役立てばと、人権、思想、宗教、政治、教育、科学、精神医学について、自分の考えを述べます。

人は保守的なのだ、それが正しいとも正しくないとも いえない

2021-04-24 23:00:06 | 思想

ふと、最近思ったのだが、人は、本来、変化を求めない、すなわち、保守的なのだ。人は記憶にもとづいて動く「からくり人形」だとすると、環境が変わると、それについていくのに苦労する。適応するために右往左往することが嫌だ。考えるということは試行錯誤することだ。考えないように教育されている人は考えるのが苦痛だ。そのときは誰かに頼ろうとする。

私は、子どものとき、もう覚えないぞ、考えるのだ、と決意した。そんな私だが、服を変えるのが嫌いだ。服を着替えると、ハンカチをもったか、財布をもったとか、定期をもったか、鍵をもったかとか、と色々と確認することが出てくる。頭に負担がかかる。だから、職場に行く服を変えるのが嫌いだった。毎日同じ服を着ようとした。変化を望まないのである。

ということは、変化を求めるということは、多くは、その人が、どうしようもない状況にあるからだ。

日本近代史研究者の伊藤隆は、「革新・保守」と「左翼・右翼」と区別する。必要に迫られないのに変化を求める人は変わっているのだ。リスクを求めている。

野良猫を見ていると、オスの子猫が大きくなると、母猫に群れから追い出される。母猫に体を寄せると、オスの子猫の頭を母猫はコツンとたたくのである。そして、オスの子猫は群れを飛び出て帰ってこない。きっと、その半数はどこかで野垂れ死しているのだろう。

デイヴィッド・J.リンデンは『快感回路 なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか』(河出書房新社)で、人にもリスクを冒す本能があり、それが脳の「快感回路」と結び付いているという。それがあるから、人類は生存域を増やすことができたのだという。海を越え、山を越え、未知の土地に住むようになったという。新世界を開拓する必要のなくなった今、人はリスクを求めてギャンブルにのめり込む、とリンデンは言う。もちろん、some people だが。

変化が好きでないが どうしようもなくて変化を求める人と、変化が好きで変化を求める人とがいるのだ。

J・K・ガルブレイスは『ゆたかな社会 決定版』(岩波現代文庫)で、19世紀は貧困層が多数派であったが、米国でだが、第2次世界大戦後、貧困層が少数派になったという。貧困層を救うということが良心の問題になったという。

いま、日本では自民党政権が続いている。ということは、どうしようもなくて変化を求める人たちが少ないのかもしれない。

しかし、どうしようもなくて変化を求める人は、誰かに頼るという間違いを起こすかもしれない。1930年前後に、ドイツに不況がおとずれると、急速にナチが伸びた。「ドイツ人の生存権を広げる」というナチの呼びかけに30%の人が応じて、ナチが政権を獲得した。

面白いことに、この30%は自民党の岩盤層に呼応している。変化を求めない人が自民党を支持しているはずなのに、自民党自体は右翼過激派集団になっている。何か変だ。自民党は、変化を求めない人を、少しずつ、内には抑圧社会のほうに、外には軍事国家のほうにひっぱって行く。変化を求めない人たちが、自分で考えたくないから、自民党が社会体制を変えていると、無意識に認めないのだろう。支持する政党が間違っているのだが。

トリチウム水を海洋に放出するのは大きな変化である。「風評被害」だという電通の政府広告に押されて、変化がきらいな人が「政府」の言う変化なら変化でないと思うのだろうか。

若者に届くとは思えない菅義偉のスピーチ、緊急事態宣言記者会見

2021-04-24 00:35:01 | 新型コロナウイルス

きょう、内閣総理大臣、菅義偉が3度目の緊急事態宣言を決定し、記者会見をした。私はリアルタイムで、菅のスピーチを聞きたかったのだが、妻や息子は野球中継をみたがり、あとで、YouTubeで見ることになった。しかし、4回みても菅が何を言いたいのか、よくわからなかった。

若者に菅のメッセージが届いたのか心もとない。政府の方針は、菅が話す何日も前に、また、新型コロナ対策本部を開催する前に、マスコミに流されており、若者は今さら菅が何を言うのかという気持ちで、聞きもしなかったのではと私は思う。

菅のスピーチが心に響かないのは、「大都市の人流を抑え」「遊興施設」「行楽」という、耳ではわかりにくい言葉がでてくるのも一因だろう。菅のスピーチ原稿を書いた人のセンスを疑う。(なぜか、私は「人流」という言葉から「乾いた人糞」を連想してしまう。)

スピーチの構成は、固い選挙基盤の個人後援会向けのものであり、何を誰にお願いするのかが意識されていない。

今回の緊急事態宣言は、ゴールデンウイークで多くの会社や工場が休暇に入る期間に絞って、すなわち、経済界の反対が出ない期間、4月25日から5月11日に限って、人出を徹底的に抑制するという作戦と思われる。まず、本当に心から、この作戦の成功を祈る。

しかし、もったいぶった言い方ではなく、菅は、家から出ないでください、東京や大阪に来ないでください、遊びに地方に行かないでください、と率直に言った方がよかったと思う。小池百合子や吉村洋文の呼びかけの方が誠実さを感じる。

記者会見での菅義偉と尾身茂との間にはずれがあった。尾身は記者からの質問に答えて、緊急事態宣言解除の後に必ずリバウンドするから「重点措置」を十分にやってから解除すべきと言っている。菅は、ゴールデンウィークの機会を利用して、短期間に徹底的に「人流を抑える」が政府の作戦だと言っている。

尾身は「重点措置」が何であるかを説明しなかったが、今年3月の緊急事態解除のときに、つぎの発言をしている。

 第1に、引き続き対策の中心となる飲食を通じた感染防止、
 第2に、変異株に関する監視体制の強化、
 第3に、感染拡大の予兆をつかむための戦略的な検査の実施、
 第4に、安全・迅速なワクチン接種、
 第5に、次の感染拡大に備えた医療体制の強化、

菅政権が、本当に、第2、第3、第5の措置を行ったのか、そのうえで、感染拡大が起きたのかが、今回の緊急事態宣言の記者会見では明らかでなかった。

また、今回の緊急事態宣言の対象から神奈川県、埼玉県、千葉県が抜け落ちているのも不可解である。これらの県は、東京への通勤圏である。

経済界の顔色をみながら「人流」を抑えるだけという菅の感染対策はうまくいくとは、私には思えない。