那覇首里城
定番の沖縄観光スポット、首里城に行きました。
那覇の街が好きで沖縄に行った時は、必ず市内に一泊して街中を歩いて写真を撮ります。今回は、レンタカーで首里城に行ってみました。
大きな県営の駐車場から歩いて、まずは沖縄海洋博の記念硬貨にもなっている「守礼門」です。門の額には”守禮之邦”と書かれています。何かイメージより小さくて「これが有名な、守礼門かぁ・・・。」・・・
ふつう城の門といえば城内に入る通路で、外から攻撃してくる敵に対しては門戸を閉じで容易に場内に入り込むのを防ぐためのものです。しかし、この守礼門は歓迎のためのゲートという感じで、神社の鳥居のようです。神社の鳥居は、「ここからは神様のおられる領域ですよ。」という結界を示しています。そうなんだ、守礼門は結界に建てられている鳥居なんだ。だから額にも門とは書かれておらず「守禮之邦」つまり、「ここから先は禮節を守る邦(国)ですよ。」と言う意味なのだ。・・・と、守礼門についての新しい解釈?を思いつきました。
左が石垣に囲われた城外廓の門です。名前は「歓会門」です。
首里城は第二次大戦で日本軍の司令部が置かれていたこともあって、ほとんどが破壊されたそうです。でも石垣などを見ると、修復されているのだと思いますが、古くから残っているもののようです。石垣の上の樹木も、大きな蘇鉄などがあって本土の城とは違って、南の異国の雰囲気です。
首里城の大手門に当たる、歓会門にあるシーサーです。左右のシーサーは、阿吽の形相で彫られています。左が阿形の雌で、右が吽形の雄です。雄のシーサーには牙があります。これはまるで、内地の神社の狛犬ですね。沖縄の王国は、歴史的に西暦1400年頃からしっかりした記録がありますので、狛犬だとすれば本土の方が歴史が古いのかもしれません。
シーサーの歴史と狛犬の関係についても、調べてみると面白いかもしれません。
内輪に入る瑞泉門の手前にある龍樋、水場です。
沖縄は細長い島国で山も低く、大きな河川はありません。雨量は多いのですが、降った雨はすぐに海に流れてしまって、良い水がなかなか確保できません。
城は水の確保は必須ですので、水がある場所を城にしたのでしょう。
井戸ではなく、湧水が流れ出ているようです。首里城は山の上に作られているのに、そのような場所で湧水があるとは、貴重な水場です。
城壁の上から、那覇の街が一望できます。首里城が山城だということが、実感できます。城壁がキレイな曲線を描いて、山の地形に沿って作られていることが分かります。
梅雨明けはしているものの、曇りがちで、空の色も海の色も、もう一つ冴えません。
首里城正殿です。これも戦争で破壊されしまったので、新たに復元されたものです。ただし、見た目の色や形だけでなく、内部構造もしっかりと再現復刻されています。
正殿の内部は公開されいて、博物館のように色々な展示物があって沖縄の歴史を見ることができます。右の写真は、中に展示されている正殿のミニチュアで、正殿にいる国王の前に集う人たちです。暑い!なか、このように国王に逡巡し崇めていたのです。
正殿は寺や神社のようで、内部の中央にある玉座は神様や仏様が置かれる場所にあって、つまり沖縄琉球王国の国王は、神様だったのです。正殿の玉座を見て、そのように感じました。
そういえば、守礼門といい、まるで狛犬のようなシーサーといい、首里城は国王を神様とする大きな神社なのだ。と、勝手に納得しました。
正殿の奥に「鎖之間」(さすのま)があります。ここは王子などの控えの間で、明るい縁側に囲まれていて奥には茶室もあります。畳の間に炉が切ってあって、床の間など侘茶の茶室のたたずまいです。布袋の掛け軸が飾られていました。
このような茶室があるということは、信長の時代以降に作られたものだと思います。
この茶室も最近復元されたもので、床柱や壁、天井など新築のきれいさです。何かモダンな現代建築のようですが、古い資料に基づいて、創建当時が忠実に再現されています。
このような南国の明るい日差しがたっぷりと入る茶室で点てる茶は、利休の薄暗い茶室の侘茶とは全く異なるものになるでしょう。ここで、茶を点ててみたくなりました。
茶室の左側の中庭には、「わだかまりの松」があります。ただの松ではありません。”わだかまり”がある、いわれのある松です。これは、琉球王朝に招かれた冊封使がこの庭を見て「わだかまった松と蘇鉄とを、奇怪な格好をした石の間に、互い違いに植えている」と伝えたことにより、ついた名前です。つまり、松と蘇鉄が奇岩を挟んで互いにわだかまっていた・・・ということらしいです。奇岩があったようですが、この石が奇岩なのか? 当然松も、当時のものではありません。
そう言われてみると、確かに何処かわだかまっているような松に・・・見えてきます。
鎖之間は、沖縄に昔からあるお菓子を出してくれる休息処になっています。
サンピン茶(ジャスミン茶)と玉子と小麦で作った焼き菓子、有名なチンスコウなどがついてきます。コンビニで売られているペットボトルのサンピン茶とは違って、大変香りが良くてとても美味しいお茶でした。これで310円は、安い!
沖縄のコンビニではジャスミンティーではなく、小さいペットボトルでサンピン茶として売られています。
沖縄の民族衣装を着たお姉さんが、この間の由来や庭、お菓子の説明などをしてくれます。海外からの観光客が多いので、日本語だけでなく英語でも解説していました。中国の人が多いです。周りからは、中国語しか聞こえてきません。
首里城は全くの観光地として整備されているのですが、忠実に昔が再現されていて建物自体は新しいのに往時の琉球王国を感じさせてくれました。大変印象に残る場所でした。
- 追伸 -
沖縄が好きで毎年行っているのですが、今回の首里城の火災、本当に悲しく思います。国も支援の声明を出していますし、まずはしっかり原因を究明し、管理を徹底して火災、災害に対応した施設として再建、復興されますように。(2019.11)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~~~~~