8×30ポロプリズム式の双眼鏡
アガサクリスティー小説「ミス・マープル」のミステリードラマをテレビで見ていて、ミス・マープルが8×30(8倍対物レンズ口径30mm)の双眼鏡(直角プリズムを2つ組み合わせたポロプリズム式)を使っていた。それが欲しくなって双眼鏡はいくつも持っているのにまた手に入れてしまった。
このドラマは、第一次世界大戦のあと1920年代の頃の設定です。当時の光学機器はドイツのカールツァイスが席巻していて、これも多分カールツァイスの双眼鏡でしょう。カールツァイスの双眼鏡は日露戦争の日本海海戦で、東郷平八郎が戦艦三笠の艦上で使っていたことでも有名です。
日本製の8×30の双眼鏡です。通常このタイプの双眼鏡の視野角は6度なのですが、これは広角タイプ8.5度あります。
左の対物レンズにバル切れ(レンズを張り合わせといるバルサムが剥がれてしまった状態)がありました。実はこの双眼鏡、落下させているようで、その時に対物レンズにバル切れが発生したようです。たぶんボディーの左側の角から落としたんだと思います。バル切れは多少コントラストが落ちる程度で見え方にほとんど影響はないのですが、この双眼鏡は光軸がズレていて左右の映像が一致して見えませ。通常光軸のズレは対物レンズの装着の歪みなのですが、調べてみるとねじ込み式の対物レンズは正常にセットされています。鏡筒の中に直角プリズムが設置されているのですが、左のプリズムが落下の際ズレてしまっていたようで、一度取り外してセットしなおしたら、しっかり画像が一致しました。対物レンズの周りにはショックアブソーバのゴムのリングがはめ込まれています。それでレンズが割れるなどのダメージがなかったのでしょう。
昔は探鳥会(日本野鳥の会)で使われていた双眼鏡はこのポロプリズムタイプの8×30でした。手持ちで使うには、8倍が限度です。それ以上の倍率になると手振れして良く見えません。対物レンズの口径は大きいほど集光率が上がってより鮮明で明るく見やすい映像が得られるのですが、レンズが大きくなって重くなり、手持ちの操作性が悪くなって手振れしてしまいます。そのため手持ちの双眼鏡としてはトータルのバランスから、8×30がペストです。また対物レンズが視線の外側に配置されたポロプリズムタイプの双眼鏡は、左右のレンズの間が離れているので、映像の立体感が強調されてより見やすくなります。
現在市販の双眼鏡は、スポーツ観戦や景色を見るなどの用途が多いので、コンパクトなダハプリズム(光路が一直線)式が多いですね。写真の左は、ミノルタのコンパクトなダハプリズム式の双眼鏡です。見るときは左右のレンズを引き出し幅を広げて使います。
今回手に入れたクラシックなポロプリズムタイプの双眼鏡、光軸修正の修理ができて、視野が広いしなかなか見やすい良く見える双眼鏡です。利根川河川敷に冬の渡り鳥観察にでも出かけますか。でも真っ黒なこのデザイン、存在感が凄い!ちょっと目立ち過ぎですね。スポーツ観戦でもないのに外に持ち出して首からぶら下げて、あやしいオヤジ・・・ですねw…
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